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2010-02-04 11:08
(連載)経済成長戦略の一つに「賢い規制緩和」を(1)
角田 勝彦
団体役員
景気の2番底は、世界経済の予測以上の回復もあって、なんとか回避されそうである。いまこそ、雇用確保及び将来の財政再建のためにも不可欠な「経済成長戦略」の具体化のため、与野党、官民の総力を挙げて智恵を絞るべき時である。政府は、昨年末閣議決定した経済成長戦略の基本方針「輝きのある日本へ」の具体策のとりまとめを2010年6月までに行うとしているが、1月29日の鳩山総理初の施政方針演説及び菅直人副総理・財務相の経済・財政演説は、抽象的・情緒的で具体性に乏しかった。
政府が財政演説で表明したように、「公共事業に頼るのでも、行き過ぎた市場原理主義に訴えるのでもない」第三の道を模索しようとするのなら、一つの方法は、とくに第三次産業分野における「賢い規制緩和」である。これは、民間企業の活性化のみならず、鳩山総理が施政方針演説で期待した「新しい公共」の担い手拡大にもつながろう。ただし、このためには、日本最大のシンクタンクであり実務経験豊かな官僚機構の活用が不可欠である。鳩山総理が施政方針演説で力説した「政治主導による行政体制の見直し」は、角をためて牛を殺すの域に近づいている。士気を低下させるなど実害も生じている。この際「戦後行政の大掃除」と称する破壊は、より慎重に行うようにすべきだろう。
IMF(国際通貨基金)は、1月26日発表した最新の経済見通しで、2010年の実質成長率を、世界3.9%、米国2.7%と、前回(昨年10月)見通しより、かなり上方修正し、世界経済は「当初の予測以上に力強く回復している」とした。日本は1.7%で、前回と同じ見通しである。実質成長率は、2009年7~9月期に前期比年率1.3%と、アジア中心の輸出主導で改善している。また国会は「政治とカネ」で紛糾しているが、感心なことに、1月28日には、新たな経済対策を柱とする総額7兆2013億円の2009年度第2次補正予算を成立させた。次は、2010年度予算案の出来る限り早い成立に期待したい。金融政策の協調もあり、これで景気の2番底(マイナス成長への転落)はなんとか免れられそうである。
問題は、国の債務超過が2008年度で317.4兆円(1月26日財務省公表)と膨らむなか、デフレが長引いていることである。デフレの根本要因は、GDPの7%に達する需給ギャップにあるとされ、短期の財政金融政策を越えた長期的是正方針の確立が必要である。たとえば昨年12月30日に閣議決定された新しい経済成長戦略の基本方針「輝きのある日本へ」及び1月28日の鳩山首相施政方針演説に盛られた「グリーン・イノベーション」や医療・介護・健康産業の質的充実の早急な具体化策が望まれる。
世界経済との関係もある。2月5日からカナダで開かれるG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)に出席する菅直人財務相らは、中長期的な成長戦略及び財政再建(国と地方を合わせた長期債務残高は2010年度末に862兆円に達する)に向けた道筋などについて説明する必要があろう。(つづく)
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(連載)経済成長戦略の一つに「賢い規制緩和」を(1)
角田 勝彦 2010-02-04 11:08
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角田 勝彦 2010-02-05 11:03
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「事業」だけでなく「規制」も「仕分け」せよ
角田 勝彦 2010-07-07 12:27
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