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2009-12-16 09:36
(連載)天皇は国家公務員か(2)
足立 誠之
元インドネシア中央銀行顧問
問題は、この"30日ルール"が天皇陛下が前立腺癌の手術をおこなった6年前から厳格に守られてきていることです。それはそれ以降、歴代内閣、外務省、その他の官庁、更には在京各国大使館を含めた中で周知のことであり、又そうしたすべての関係者が尊重してきた原則です。そして陛下ご自身も、「国の大小、関係の深さには関係なく、平等にルールを適用するのがよいことである」とご認識されておられた筈です。
然し、陛下におかれては、このようなことは口にされないのが慣行であり、そこは宮内庁長官が陛下のご意向を忖度して、自らの言葉で表現してきた筈です。仮に陛下が「それではどの国も平等に扱うという原則に反する」として反対のご意向を述べられたら、首相はどうするのでしょうか。憲法の規定にある"助言と承認"をもって、天皇に接見を指示し、実行せしめるのか。そうなると、天皇は内閣の下にある一国家公務員にしかすぎなくなります。
羽毛田氏は、ただ「原則があるから、だめである」といい、それが「内閣の絶対命令であり、『天皇に接見してもらえ』といわれたから、仕方が無い」というのでは、宮内庁長官の役割を果たしていないことにならないか。宮内庁長官の役割の最重要点は、この天皇のご意向を忖度して、内閣に伝え、それを説得することにあるのではないでしょうか。現行憲法ではこうした場合の天皇のご発言については明記されていません。
それは、むしろ内閣が今回のような政治的な判断で天皇の国事行為を無理強いするようなことを想定していないからでしょう。ですから、羽毛田長官の悩みも大きかったと思います。ことはかくも重大なのです。小沢氏の発言とは全く正反対の意味で、辞任覚悟で発言すべきものでしょう。要は、今回の政府と小沢氏の一連の動きは、天皇を一国家公務員としかみていないことを示しています。そこに実は最大の問題があるのです。(おわり)
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(連載)天皇は国家公務員か(1)
足立 誠之 2009-12-15 18:56
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(連載)天皇は国家公務員か(2)
足立 誠之 2009-12-16 09:36
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