ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2009-12-15 18:56
(連載)天皇は国家公務員か(1)
足立 誠之
元インドネシア中央銀行顧問
中国の習近平国家副主席の天皇陛下への接見の申し入れが、所謂"30日ルール"に反して行なわれることになったことが問題となっています。この"30日ルール"は、6年前の陛下の前立腺癌手術後から、陛下のお歳、ご健康、ご公務を考えて、厳重にまもられてきたものであり、国の大小、重要度に差をつけないことで政治色を排除し、憲法の趣旨に沿うとの事で守られてきた経緯があります。そのことについて、羽毛田宮内庁長官が異例の記者会見を行い、明らかにしたことも問題となっています。
12月13日の民法テレビでは与党議員までもが、接見がルールに反して行なわれたことは天皇の政治利用だ、として強く批判しました。翌14日には民主党の小沢幹事長が記者会見で「天皇は内閣の助言と承認のもとに国事行為を行うとされており、そのような憲法上の規定からいっても、今回の接見には何も問題は無い」と述べ、さらに「一役人(羽毛田長官)が異論を唱えたそうだが、憲法の規定を知っているのか。異論を唱えるなら、辞任してから唱えるべきである」と述べています。
巷間議論されていることは、今回の接見が天皇の政治利用ではないかという問題ですが、小沢氏の記者会見は、この一連のことについて憲法上の根本的な問題を提起する興味深いものです。小沢氏は、憲法の規定により「天皇は内閣の助言と承認のもとに国事行為を行う」とされていることから、首相が平野官房長官をして羽毛田長官に異例の接見を指示したのであり、そのことは何も問題ないとしているのです。
一方、羽毛田長官は「"30日ルール"を守り、国の大小に差をつけないことが、皇室外交に政治から離れたそれなりに価値のある外交としての意味を与えているのであり、それをある国が重要であるからといって例外を作ることは、この原則を壊すことになる」として、受け入れ難いとしたのですが、二度にわたる要請で、しかも最後は首相の意向であるとのことで、内閣に属する長官として受け入れざるをえなかったとしたものです。ここでは内閣と羽毛田氏の関係は語られていますが、問題はそこに存在しているわけではありません。(つづく)
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載)天皇は国家公務員か(1)
足立 誠之 2009-12-15 18:56
┗
(連載)天皇は国家公務員か(2)
足立 誠之 2009-12-16 09:36
一覧へ戻る
総論稿数:5475本
公益財団法人
日本国際フォーラム