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2009-06-02 11:02

(連載)年金への信頼を取り戻すために(1)

古川 元久  衆議院議員(民主党)
 先日、政府から発表された年金給付額の世代間格差拡大のニュースは、ただでさえ信用されていない現行制度に対する不信を、ますます増大させました。特にその不信感は、これからまだ何年も年金保険料を払わなければならない若い世代ほど顕著です。いつになったら解決するのかわからない「消えた年金」、「消された年金」問題と相まって、まさに現行制度は“不信の連鎖”に陥っています。この連鎖を断ち切らない限り、制度に対する信頼は回復せず、保険料の未納も減らず、その結果、潜在的に将来の無年金、低年金者が増え続けるばかりです。

 それでは“不信の連鎖”を断ち切るためにはどうしたらよいのでしょうか。私はそれが、民主党がかねてから一貫して主張している新しい年金制度の創設と歳入庁の創設だと確信しています。もはやどんなに現行制度や社会保険庁の組織を手直ししても、それは所詮、マイナー・チェンジでしかありません。いま必要なのはフルモデル・チェンジなのです。年金制度をフルモデル・チェンジした場合、すでに年金給付を受けている方の給付は変わりません。

 現在、年金保険料を納めている人は、現行制度上で保険料を納めた部分に対しては、現行制度に応じた年金が、新制度発足後に納めた保険料に対応する部分については、新制度に基づいた年金が、将来それぞれ給付されることとなり、その合計額がその人の年金額となります。こうしたフルモデル・チェンジを行うに際して、現行制度で約束した年金給付の財源をどのような形でまかなうかと、新しい年金制度の制度設計をどうするか、という二つのことを決めなければなりません。

 私は、この2つはきちんと分けて議論し、結論を出すべきだと思います。これは国鉄を民営化する際に、それまでの債務の処理方法と新しい会社の形とを別に論じて、結論を出した、のと同じ手法です。(つづく)
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