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2009-05-30 14:21

(連載)北核実験に「新たな制裁」をめざす国連安保理(2)

神浦 元彰  軍事ジャーナリスト
 今回の核実験は、あきらかに軍部の行ったもので、労働党は関与していないと思う。しかし労働党は、軍部の暴走に危機感を持ち、国際世論の反発を避けるため中国やアメリカに事前通報(1時間前)したのではないか。この1時間前に行なった通報には、核実験を行った軍部は関与していないと思う。

 これがテポドン2の打ち上げと、2回目の核実験の最大の違いである。今、気になるのは北朝鮮の地下核実験が横穴方式で行われたことである。横穴式は、掘削時の土砂の運搬(排出)に車両などが使える利点があるが、核爆発後は地下水脈を伝わって放射能が地上にしみ出てくる可能性が高い。今後、北朝鮮の住民が深刻な放射能被害を受ける危険が高くなった。

 それから、昨日も強く感じたことだが、今朝の新聞各紙を読んでも、北朝鮮の指導部が混乱している気がしてならない。北朝鮮(金正日)流の謀略や脅迫であっても、深い思慮が全く感じられないからだ。軍部と党が競争心(対抗意識)を持ち、権力闘争を始めているような気がしてならない。もはや金正日には軍と党を従わす力はなくなったとしか思えない。

 これから北朝鮮でどのような混乱が発生するのか。日本は油断なく注視して、確かな対応に入る時期がきたようだ。(おわり)
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(連載)北核実験に「新たな制裁」をめざす国連安保理(2)  神浦 元彰  2009-05-30 14:21
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