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2009-01-15 08:07
「西松工作」に固唾を呑む永田町
杉浦正章
政治評論家
西松建設の副社長逮捕で、20億円にも上る裏金がどのように使われたかが、永田町最大の関心事となっている。裏金の額は、かってのゼネコン汚職をほうふつとさせるものである。ゼネコン汚職では、多くの社が裏金を政治家や自治体トップらにばらまき、工事が受注できるよう工作していた実態が判明した。政治家への波及があるのかどうなのか、あれば政局への直撃が避けられない。民主党など野党の政治家との“癒着”ならば、攻守は逆転する。固唾を呑んで東京地検特捜部の捜査展開が見守られるゆえんである。政治献金については、西松建設のOB2人が設立した2つの政治団体が、2006年末までの約10年間に、総額計約4億8000万円を献金をしていたことが分かっている。
数年前の献金額は多い順で、民主党代表の小沢一郎が1400万円、自民党の尾身幸次400万円、森喜朗300万円などだった。献金となると相変わらず小沢の集金能力がトップだ。小沢事務所では政治資金規正法に基づいて受領し、正規の手続きを終えているとの見解だが、“密接な関係”だけは浮き彫りになっている。しかしこれだけでは、野中広務が新年早々「小沢君が首相になると一挙に大変なことが起きてくる予感がする」と予言した問題には、ほど遠いことになる。一方で、2チャンネルなどネットの裏情報は既に走りに走っている。無責任に「小沢の終わりの始まり 」とか、「古賀さん,必死ですね。道路族を動員すれば、土建屋のやばい話なんていっぱい集められるでしょうから。細川政権つぶしに使った手ですよね」と、あたかも自民党の陰謀であるかのような書き込みも連日ある。
政治家の秘書や関係者などがネットを“活用”して誘導している側面もあり、ネット上の戦いは火を噴いている。「サイバー暴力」に直結する書き込みもあるが、もっともらしいものもあり、面白い。ポイントは、裏金作りの中心人物である副社長の逮捕で、地検の捜査が政治家に波及するかどうかだ。西松建設の裏金作りが何のために行われたかだが、これまでのところベトナムなど海外での受注工作の面だけが出ている。しかし国内、それも野党政治家に波及すれば、政局への直撃は間違いないところだ。
西松建設は東北地方の基盤が弱いのが、弱点であったようだ。報道によると「地検特捜部は、西松建設の東北支店幹部が、別の関係会社を絡ませて青森県の原発関連施設の立地工作に関与していたことも把握。西松側から建設会社への不明朗な資金が、裏金として東北地方での原発関連施設をめぐる西松建設の受注工作費などに使われた疑いがあるとみて、全容解明を目指す方針だ」とのことだ。東北での受注工作に注目が集まっているようである。これに与野党政治家が絡むのか、絡まないのか。絡むとすれば、利益供与を受けたのは誰なのか。受託収賄が成立するのかどうか、などがまさに焦点となろう。
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