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2008-12-11 08:03
どうやら年内を乗り切った麻生政権
杉浦 正章
政治評論家
民主党や一部全国紙の年内総辞職予測にもかかわらず、首相・麻生太郎は“年末政変”を回避できたようである。給油と金融の重要二法案の成立のめどもつき、国会は25日の閉会まで消化試合の様相だ。来年1月5日に政府・与党が招集を予定する通常国会までに、首相・麻生太郎が態勢を整え、巻き返しが出来るかどうかが勝負どころとなる。いくらなんでも新聞の世論調査が政権を倒すことはないと思っていたが、やはりその通りとなった。内閣支持率急落でかさにかかった民主党は、幹事長・鳩山由紀夫が「国民が不信任を突き付けている。今年中に麻生内閣が総辞職する可能性も十分ある」と予測すれば、朝日新聞は「一気に政権末期状態」とあおり、読者に年内にでも政変があるかのごとき錯覚を与えた。
今年後半の朝日の政治報道は「10月26日投開票」の誤報など度重なる解散見通しの間違えが象徴するように、落ち着きがなく、民放テレビやスポーツ紙に類するような、露骨な「倒閣紙面」のセンセーショナリズムが目立った。政局誤判断は一流高級紙のイメージを薄れさせた。国会は、海上自衛隊の給油活動を継続する新テロ対策特別措置法改正案と、中小企業支援の金融機能強化法改正案の12月12日衆院可決のめどがつき、事実上与野党攻防の幕を閉じる。舞台は、異例の早期招集を予定している通常国会に移る。政局の焦点は、通常国会招集までの3週間余りの間に麻生が態勢を建て直せるかどうかだ。麻生としては当面、雇用対策、金融危機対策に全力を傾注するとともに、2次補正と来年度予算案編成をまとめ上げ、本格的な景気対策に乗り出すことになる。
このまとめ上げ方次第によって、民主党に対する強力な“武器”を入手できるかどうかの瀬戸際に立っている。民主党に対する切り返しが出来るかどうかだ。攻める材料はある。通常国会冒頭の構図は、2次補正早期提出を求めていた民主党が「簡単に通さない」(鳩山幹事長)という姿勢を見せていることだ。「早く出せ」と言っておいて、出せば“人質”に取るとなれば、圧倒的多数の国民が待望している定額給付金の年度内支給が間に合わない。これが通常国会冒頭の切り返し材料となる。また雇用対策など喫緊を要する課題を抱えた本予算の成立を遅らせれば、これまた民主党の責任となる。しかし、通常国会はよほど態勢を整えないと、乗り切りは容易ではない。
自民党内は、何をするか分からない離党・新党結成志向グループが胎動を始めたし、失言など麻生自身に起因する問題も抱えている。政局は、弾みでどう転がるか分からない状態で推移するだろう。伊吹文明が解散時期について「首相は解散の時機を逸した。来年5月ごろまでは解散は望ましくないので、石にかじりついてでも頑張らなければいけない」と述べている。5月まで解散を先延ばしできれば、巻き返しのチャンスは出てくるが、全く未知数だ。民主党代表・小沢一郎は1月冒頭解散説を残しているが、以前から書いているように、2次補正、本予算を提出しておきながら麻生が冒頭解散に出る事はない。いずれにしても賞味期限切れの自民党が、政権を支え切れるかどうかの問題も抱えて、麻生政権は海図無き航海をせざるを得ないだろう。
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