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2008-12-08 10:30
米も、金正日失脚を前提に対策検討開始か
神浦 元彰
軍事ジャーナリスト
12月5日付け読売新聞によれば、米情報筋は3日、読売新聞(ワシントン支局)に「米政府は、北朝鮮の金正日総書記の病状が当初想像していた以上に悪い、との見方を強め、金総書記の失脚または死亡を前提にした対処計画の策定を始めた」ことを明らかにしたという。同筋によれば「金総書記が全面復帰する可能性は極めて低い」とした上で、北朝鮮内部で、軍部、朝鮮労働党上層部、金正日一族の3者が絡む集団指導体制にむけた動きが活発化していると指摘。「彼らが(総書記の)復帰を想定していれば、こうした動きは控えるはずだ」と述べ、近い将来に金総書記の失脚があり得るとの見方を示した。
この情報の中心は、北朝鮮で、軍部、党、金一族の集団指導体制が活発化しているという部分である。確かに金総書記が失脚あるいは死亡すれば、3者による集団指導体制への切り替えが行われるとみるのは間違いない。しかしそのことが混乱なく行えるかは別問題である。3者の利害関係が対立した場合、1つに決定できる出来る独裁者はなく、逆に対立が拡大することが必至になるからだ。
たとえば北朝鮮が掲げる「先軍政治」である。軍部は、先軍政治の維持・強化を主張するだろう。そのためには北朝鮮で戦争の危機を煽り、国民の高い緊張意識を維持しなければいけない。しかし飢餓や病気に苦しむ国民に、そのような危機感を維持させることができるか。党は、先軍政治がもたらす国内の歪みを強調するだろう。党の考えでは、先軍政治を支える国民の生活が維持不可能になっていることこそが、現実なのだ。北朝鮮では先軍政治を改革したくとも、資金難でできず、仮に対外開放しても先軍政治では外国からの投資は期待できない。もはや北朝鮮の支配体制は、自立できるところまで回復できる段階は過ぎている。
私は、もはや北朝鮮がこのままの体制で2010年を迎えることはないと思う。中国で「9の数字の年は、大きな変動が起こる」と言われているとおり、2009年には北朝鮮という国が世界地図から消えている可能性が高い。北朝鮮のような独裁国家は、そのような運命から逃れることはできないのだ。同じ時期にアメリカでは初の黒人大統領のオバマ政権が生まれ、日本では長かった自民党支配が崩壊することになると思う。朝鮮半島では南北統一国家が誕生し、東アジアでダイナミックなチェンジが起こることになろう。
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