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2008-11-06 11:04
ロシアのグルジア侵攻と世界的な株価大暴落
北田 徹矢
公務員
英紙『フィナンシャルタイムズ』の最近号が、最近のロシアのグルジア侵攻と世界的な株価大暴落の関係を論じて、「東西冷戦の再来を恐れた世界の機関投資家が一斉に株を手放して、現金化したため、世界的な株価の大暴落につながった」と論じている。アメリカの先輩国または兄弟国である英国らしい分析である。日本ではなかなかできない、または指摘しづらいものではないだろうか。通説では、株価大暴落はアメリカのサブライム問題が表面化したためのものであり、近年の高度な金融工学であるレバレッジ取引が株価暴落の規模を増幅したことになっている。その通説を踏まえた上で、米国の実体経済の脆弱性を表面化させたきっかけが、意外なことにロシアのグルジア侵攻だったという指摘であり、私は、この指摘にはっと胸をつかれた思いがした。
世界は身近につながっており、もはや他人や他国の出来事がすぐ直接わが身や自国に影響が及んでくる時代である、21世紀には、諺でいうところの「対岸の火事」はないということに改めて気づかされる。密接に世界各地とつながっているということである。もう一つの感想は、アメリカが一番誇っていた経済の繁栄が、予想もつかないところから壊れはじめたということである。自国の株価大暴落という経済の凋落が、かつての冷戦相手であった旧ソ連のロシアからもたらされたというのは、かなりのショックなのではないだろうか。
アメリカがテロ防止に懸命の努力をし、国内の安全や経済繁栄の保障に万全の備えをする労を惜しまないことに、尊敬の念を抱き続けてやまない。そのアメリカでさえも予想がつかないことだったのではないかと思う。アメリカのニューヨーク取引所の人は、まさか鄙びた地方であろうグルジアで起きた出来事が、これほどの株価大暴落につながるとは思わなかったであろう。政治・経済と軍事が良くも悪くも密接に絡んでいるのだと思う。遠い国の出来事、それも紛争が起こりがちな世界の果ての貧しい国の出来事に、外務省やアメリカであれば国務省などは、毎日気を配りつづけていると思う。経済分野にいる人間も、今後は気を配っていかねばならない時代がきたと思う。
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