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2008-10-01 16:23
所長だより:国家戦略研究会第3回定例研究会について
村上正泰
日本国際フォーラム所長
日本国際フォーラムはいろいろな活動をしておりますが、その要にいる人間のひとりとして、その活動内容をできるだけ分かりやすい言葉で、広くフォーラム内外の皆様にお伝えする努力をすべきではないかと考え、今回を第1回として、今後ときどき気の向くままの言葉足らずのものになるかもしれませんが、私の所感のようなものを「所長だより」と題して皆様にお伝えすることにしました。今回は、9月30日に開催された当フォーラムの国家戦略研究会の第3回定例研究会の模様について、所感を報告いたします。
今回の研究会では、研究会主査の神谷万丈防衛大学校教授より「積極的平和国家:21世紀日本の国家戦略」と題して報告があり、その後出席メンバー全員による活発な意見交換が行われました。
神谷主査は、戦略策定の前提となる21世紀日本をとりまく「大状況」の認識として、当研究会の伊藤憲一座長(当フォーラム理事長)の言うところの「不戦時代の到来」を挙げ、日本はその状況判断を踏まえた国家目標として「積極的平和国家」を選択すべきであるとの報告を行いました。自由討議の中では、「不戦時代」という表現について、それが言葉としてベストなのかどうか(実は伊藤座長も「紛争時代」という表現も用いています)など、出席メンバーの間からいろいろな意見が出ましたが、その意味するところについては、多くの出席者から「状況認識として同感である」との発言があり、「不戦時代の到来」という「大状況」判断と、それを前提にした「積極的平和主義」という大戦略目的の2点が、(何となくではありますが)おおむね共有された有意義な研究会であったと思います。
なお、何人かの出席者から「今回の報告は理念的な話に偏っており、具体的に実際の政策をどう作っていくかということを早く議論すべきではないか」との意見もありましたが、神谷主査は「これまで現実の政策ということで、いろいろな政策論を積み重ねてきたが、そもそもの理念が欠けているために、全体としてまとまった形のある政策になっていない。理念の部分が欠けているのが問題であり、まずはそこをしっかりと押さえる必要がある。その上で具体的な政策については、今後議論していきたい」と答えていました。私も、本研究会としては、しばらく理念というか、理論の部分をしっかりと固めるのが先決かと思っています。理念や理論なしに技術論や具体論だけ先行すると、大きな方向ミスをしていながら、それに気づかないでいるという結果になる可能性があるからです。
以上、さわりの部分だけ述べましたが、詳細についてご関心のある方は、近く当フォーラムのホームページに「研究会メモ」が掲載されますので、ぜひそちらのほうをご覧ください。
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