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2008-09-10 07:40
「麻生」頼みの自民対「浮動票」頼みの民主の激突
杉浦正章
政治評論家
全国紙の世論調査の結果が出そろったが、朝日、読売、毎日各新聞に共通しているのが、次期首相候補に麻生太郎の人気が断トツである点だ。トップの顔が大きく作用する小選挙区比例代表制において、「麻生首相」となれば、自民党にプラスの作用をもたらすだろう。自民党は政策よりも「麻生頼り」の選挙戦を展開せざるを得ないだろう。しかし民主党が不利とは言えない。最終結果は浮動票が左右するするからだ。政権交代を求める調査結果も出ており、全く予断できない。
次の首相候補については、朝日が麻生太郎30%、小沢一郎8%、小泉純一郎4%、小池百合子3%。読売が麻生30・6%で、小泉11・8%、小沢9・6%、小池4・7%、石原伸晃4・1%、与謝野馨1・8%。毎日が麻生23%、小泉、小沢各7%、小池、石原各4%、与謝野、石破茂各1%だ。これは首相候補としては麻生がぶっちぎりのトップを走っていることを示している。次いでタレント候補の小池、石原にそこそこの支持があり、与謝野、石破に至ってはほとんど首相候補として認知されていない傾向だ。自民党は「勝ち馬」に乗らざるを得ない潮流にあり、地方党員による地方票141票への影響は確実である。
一方、政党支持率でも自民党が上昇の流れだ。朝日が前回26%から29%へ、毎日が25%から33%へ、読売だけがほぼ横ばいの29・7%。民主党支持率は朝日が31%から32%へ、読売が16・9%から15.1%、毎日が21%から22%でいずれも変化は微少にとどまっている。こうした調査結果が物語るものは、「福田辞任効果」の顕著な現れだ。福田自身への批判は「無責任66%」(朝日)と厳しいが、辞任に続く総裁選の流れは歓迎されていることになろう。しかし自民党が有頂天となるにはまだ早い。落とし穴があるのだ。次期政権選択では民主党を選ぶ、という流れが消えていないことだ。
朝日の調査では、自民、民主いずれの政権がよいかの問いに、民主党中心の政権が41%、自民党中心の政権が32%で逆転している。比例区でどの政党を選ぶかについても、民主32%、自民28%と逆転だ。高齢者対策の失政、物価高騰、相次ぐ不祥事、年金問題などで離れた自民党票が、戻っていないことを物語っている。したがって総選挙では、麻生人気が“上滑り”する可能性を秘めていることになる。民主党支持率が変化を見せていないが、同党の場合選挙前の支持率が選挙結果と結びつかない傾向にある。浮動票への依存度が極めて高いからだ。麻生人気の自民党か、浮動票の民主党か、過半数確保に向けてのまれに見る選挙戦が始まっている。
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