ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2008-07-30 14:51
憲法改正は、前文と9条2項の削除で
松村昌廣
桃山学院大学教授
来年1月にはインド洋給油新法の更新期限がくる。新法成立までのゴタゴタは、9条問題が我が国憲政の宿痾であることを露呈した。現在の手詰まりを解消するには、憲法改正が不可欠であるが、左の教条的な護憲派から右の新憲法制定派まで、議論は全く収斂していない。私見では、この状況は憲法の本質が慣習法であることを認識していないことによる。英国の不文憲法から明らかなように、憲法とは国民の規範意識を伴った実践の中から見出すべきものである。正当な法的手続きを踏んでも、慣習に裏付けられていない単なる作文では、機能しない。
9条1項は国民の慣習に深く根ざしている一方、自衛隊の存在への幅広い国民の認知にも係わらず、戦力の保持を禁止した9条2項は現在の慣習に反している。護憲派は、現憲法典の字面を墨守しているにすぎない。他方、右派が提案する新憲法の前文は、彼らの理念による作文であり、占領軍が日本国民の慣習とは関係なく勝手に作文したように、慣習に基づいていない。主要国の憲法典を見ても、ダイナミックに変化する国際関係を静態的なものとして規定する前文など、例をみない。
今、必要とされる憲法改正は、前文と9条2項の削除である。それ以上でも、それ以下でもない。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:5475本
公益財団法人
日本国際フォーラム