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2008-06-03 08:35
自民党幹部に解散恐怖症候群
杉浦正章
政治評論家
解散・総選挙が「怖い」と言えないから、自民党内は「解散はない」の大合唱だ。確かに自民党選挙基盤は「選挙区に帰るたびにやせ細っている。危険だ」(自民党幹部)という状況のようだ。自民党幹部らはまるで解散恐怖症候群とも言うべき状態にある。なぜ解散がないかの理由がふるっている。総務会長・二階俊博は「世の中をばたばたさせるのは適当ではない」、国対委員長・大島理森は「税の問題をめぐる大作業がある」といった具合。全く理由になっていない。選対委員長・古賀誠にいたっては「福田カラーが国民に染み通ってから」と、“はた迷惑”な理由。国民は福田カラーになど染まりたくはあるまい。
平均2年半の衆院議員の在任期間はとっくにすぎ、通常ならば選挙態勢を党としても確立しなければならない状況下に、自民党はおじけづいてしまっている。そして1976年に三木武夫が憲政史上1回だけやって大敗した、任期満了選挙にこだわる。来年夏まで先延ばししようというわけだ。なぜか。それは結果的にではあるが民主党代表・小沢一郎の戦略通りにことが進んでいるからだ。結果的というのは、年金問題にせよ、高齢者医療にせよ、小沢が仕掛けたと言うより、政府が自分で落とし穴を掘って落ちた構図だからである。元首相・小泉純一郎が「選挙をやれば150議席は減る」と述べたが、まさに地滑り的な敗北が予想される状況だ。
こうしたなかで、小沢の戦略は政府・与党を「9~12月の間に」解散に追い込み、自民党を過半数割れにして、政権を獲得するところにある。政界再編は、あくまで選挙後に自民党の分裂による再編を目指す。自民党首脳らにしてみれば、寸前暗黒の政治状況の中で、ぽっかり口を開けた深淵を見るがごとき心境に違いない。選挙区に帰る議員らからは、ただならぬ状況が報告される。何が何でも解散だけはさせてはならないという、解散恐怖症候群が発生しているゆえんである。しかし自民党幹部らにも秋の解散を回避できるかどうかの自信はない。「政治は一寸先は闇。準備万全を期していく緊張感が求められる。解散は危険水域には入っている」(古賀)と付け加えることも忘れない。マスコミの論調も、秋になれば一層解散・総選挙による“決着”を主張するようになるだろう。まさに一寸先は闇で、何があってもおかしくない状況で推移するだろう。
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