本年2月、米国のArmitage International とthe American Enterprise Institute (AEI)が、Strengthening Freedom in Asia: A Twenty-First-Century Agenda for the US-Taiwan Partnershipを発表し、最近数年間、ブッシュ政権は国際問題について中国の協力に依存する度合いが高まり、その結果、米台関係は悪化しているとの認識を示し、台湾を米国の側に留め置く必要性を強調している。また3月には、米国のthe Heritage Foundationの研究員が“Taiwan's Elections: Sea Change in the Strait”と題する論文で、馬英九次期政権(5月20日に総統就任)に中国に接近する以外に選択肢がないと思い込ませてはならない、と論述し、米国政府と議会に経済交流や防衛支援の面で台湾と係わりを強めることを提言している。
両岸経済交流が及ぼす影響について、日本の学界・マスコミの反応は鈍く、あっても、私の見る限り、経済面あるいは安全保障面からだけの表層的なものである。グローバル経済と呼ばれる時代の以前、七つの海に日本のシーレーンが伸びていた。今、中東から東アジアのシーレーンには、“String of Pearls”(中国が中東に至る海上資源ルートに沿った港湾(Pearls)に足掛かりを作り、恰も首飾りを通すようにシーレーン(String)を伸ばしていることを表わす言葉)と評されるとおり、中国仕向けの船舶が数珠繋ぎとなっている。中台経済交流の活発化はそれに拍車を掛ける。海洋国家日本は、シーパワーを強化しなければ、やがて中華経済圏に呑み込まれるだろう。