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2008-03-12 09:13
自民党は都知事の独断を戒めよ
杉浦正章
政治評論家
新銀行東京問題は都知事石原慎太郎の開き直りで、与党、とりわけ自民党が追加出資を了承するかどうかに絞られてきた。これまでのところ都議会自民党は石原提案に理解を示しているようだ。都議会予算特別委員会は26日に採決の予定というが、自民党が賛成した場合都民の怒りが次期衆院選挙を直撃し、同党敗退に直結する事は目に見えている。ここは自民党本部が都議会自民党に任せず、知事の独断専行を説得する場面だ。石原は、絶対に抜けない罠トラバサミにかかったようだ。強気に反論して開き直りの態度を見せているが、これは身の危険を感じた権力者が往々にして取る態度だ。実は、権力者の最後を形容する言葉として、私はこの「トラバサミ」を二度記事に使ったことがある。
ウオーターゲート事件に引っかかった米大統領ニクソンとロッキード事件の田中角栄である。いずれのケースも、もがけばもがくほどトラバサミが食い込んでいった。石原の主張は最初から論理的に破綻している。物書きにあるまじき言論上の隙がある。その隙の最大のものは、新銀行東京を400億円の追加出資で建て直せるという誤判断である。もし建て直せるなら、何で秘密裏に新銀行は、業務提携や出資を求めて、11もの金融機関と交渉したかである。そしてそのメガバンクを含む民間金融機関に再建は無理と判断され、結局都民の税金にその尻を持ち込もうとしているのである。なんという詭弁、ご都合主義かと思う。
第二に、一貫してみられる責任転嫁の姿勢は、石原の人間性を疑うものである。そもそも新銀行東京は「石原銀行」といわれるほど、知事肝いりで作ったものである。「無担保・無保証」で「いけいけどんどん」のレールを敷いたのは、事実上都知事に他ならない。トヨタ出身のトップを初め経営陣を選任したのも石原だ。それが手のひらを返して、「お手盛り報告書」を現経営陣に作成させ、それを根拠に旧経営陣を批判・追求する。古来日本では部下の責任を一身に背負って責任を取るのが、民間でも政治の世界でも美風とされて、指導者の道徳律でもあった。それを他人のせいにする。知事は人間として何かが欠けているのではないか。
ところで都議会自民党は、11日の予特委で政調会長川井重勇が「追加出資の意味合いを多くの都民に理解してもらえたと思う」と知事に同調した。これは知事同様に都民の空気を全く読めていないことを物語っている。自民党はここまで大きくなった問題を、一都議会自民党に委ねておいて大丈夫か。追加出資を認めでもしたら、都民の反自民党感情に火がつくことは明らかだ。衆院選挙も接近しており、確実に手痛いしっぺ返しを食らうだろう。ここは党首脳ら政治の出番でもある。自民党東京都連の会長は石原伸晃である。常日頃からしっかりした政治家に育ったと思っているが、よもや父親擁護に回ることはあるまい。むしろ父の大失政を戒め、新銀行東京を精算し、責任を取る事を進言するであろうことを期待する。
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