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2008-02-22 18:27
マケイン候補女性問題とニューヨーク・タイムズの意図
梨絵サンストロム
ジャーナリスト
アメリカのメディアは、共和党大統領候補マケイン上院議員の女性問題に関するニューヨーク・タイムズのフロントページの報道でけんけんごうごうの大騒ぎをしている。大半のメディアは「何故確固たる裏づけの無い記事を載せ、天下の大新聞がイエロー・ジャーナリズムにも劣る真似をしたか」と疑問を呈している。記事の内容は8年も前の噂の温め直しで、報道関係や、ワシントン界隈では周知の話である。当時、ワシントンの有力弁護士ロバート・ベネット氏が徹底的に調査をし、その結果を「全く根拠の無い告発であった」と30ページあまりの書類で報告している。面白いことにロバート・ベネット氏は著名な民主党員である。彼が共和党の上院議員マケイン氏を調査して「白」と証言したのである。
3000語もあるニューヨーク・タイムズの記事は、マケイン氏とヴィッキー・アイズマンという女性ロビイストとの関係を報じるとともに、彼女への便宜供与などを挙げ連ねている。しかし、そのすべてが「匿名の、ある人が聞いたという話によると」とか「と言う噂である」と伝聞情報の域を出ていない。リベラルなトークショウのコメンテーターのなかには「天下のニューヨーク・タイムズが書くからにはこれ以上の証拠を握っているに違いない」と言う者もいる。確かにそれも考えられる。しかしマケイン氏の名誉と政治生命を左右するかもしれない記事を、記者たちが6人がかりで、しかもフロントページにここまで書くとしたら、なぜもっと歴とした根拠や証拠を挙げないのだろうか。まともな編集長ならこんな記事は屑篭行きにするのではないか。そこに「陰謀」の臭いがするのである。
謎のひとつは、ニューヨーク・タイムズが1月25日に「マケイン氏を共和党候補として支持する」と宣言したことである。それより1か月前の12月にはこの記事はすでに書かれていたのだという。マケイン氏の共和党候補がほとんど確定するのを待つかのように掲載した。これは共和党と保守主義を公然と憎悪するニューヨーク・タイムズの轢き逃げにも似た仕打ちだ、という評論家もいる。ニューヨーク・タイムズはあまりにもリベラルに偏りすぎて、公平さのバランスを失ってしまったのだろうか。販売部数ががた落ちしたわけである。現在ニューヨーク・タイムズは、この記事を正当だと主張している。
マケイン氏は保守派の強力な右翼からはリベラルすぎると反感を持たれ、選挙に向かって「保守派をどう統一するか」が高いハードルであった。ところが強力なラジオ・トークショウなどの保守系司会者たちが、一斉にニューヨーク・タイムズを相手取って抗議し、マケイン氏をかばいだしたのである。今まで右往左往していた保守派がこれをきっかけに結束したとしたら、ニューヨーク・タイムズにとっては大きな誤算かもしれない。
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