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2007-12-13 10:52

首相!公約違反は、大げさなものです

杉浦正章  政治評論家
 「首相をやって一年経つと狐憑きが憑いたようになる」と田中角栄が漏らしていた。自分が何を言っているのかも、首相の椅子に逆さまに座っていても、分からなくなる時があるというのである。首相福田康夫は一年を待たずに狐憑きだろうか。誰が見ても公約であるものを「公約違反と言うほど大げさなものなのかどうか」と述べた。支持率は急落、いま、衆院選挙をやれば衆院でも逆転につながりかねない発言である。

 選挙公約とは、官僚が後から理屈をつけて訂正しようとしても出来るものではない。いまの政権はそれをやろうとしている。選挙公約に関する国民の認識は「最後の一人、最後の一円まで確実に給付につなげる」以外のなにものでもない。その国民が〝裏切られた〟と感ずる発言をしてはいけない。先の政権がやったことという意識が垣間見えるのもいけない。

 首相の発言を観察すると、近くに「総理!公約違反というほど、大げさなものです!」と諫言する側近がいないことが分かる。小泉純一郎の秘書飯島勲のように、側にいて政局について常に相談相手になるような側近がいないのである。首相は相談相手がいてはじめてバランスが取れる。福田政権の政治判断の構造的もろさを露呈している形だ。

 いま、政府与党がなすべきことは、「一生懸命やったが、出来なかった。申し訳ない」とまず陳謝することだ。舛添要一のように「選挙の意気込みを示したまで」と全く見当違いな弁明をしてしまってはおしまいだ。劇場型ポピュリズムの舛添は、当初から危ない発言を繰り返しているが、一段と危険度が増した。
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