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2023-02-21 09:12
プーチンさんもびっくり「北方領土返還要求」大会のこと
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「政府と関係団体は『北方領土の日』の7日、東京都内で北方領土返還要求全国大会を開催した。採択したアピールには『不法占拠』の文言が5年ぶりに復活。岸田文雄首相はあいさつで、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、『日ロ関係は厳しい状況にある』としつつ、元島民らの墓参など交流事業の再開に最優先で取り組む考えを示した。アピールは、北方四島を『わが国固有の領土』とした上で『77年前、ソ連(現ロシア)によって不法占拠されたまま今日に至っていることは決して許されない』と訴えた」(2023/02/07 時事通信)
これぞまさしく「昨日の友は今日の敵」、本当は「昨日の敵は今日の友」(上杉謙信)が正しいのだが、・・・「ウラジミール、君と僕は同じ未来を見ている。ゴールまでウラジミール!、2人の力で駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか!」と我らが先の宰相が叫んだ「愛の告白」。それはつい4年に満たない令和1年9月5日ロシアで開かれた「東方経済フォーラム全体会合における日本国総理大臣安倍晋三スピーチ」と題して今も首相官邸のホームページに残る「名(迷?)演説」である。まるで20代の若者の恋文と見まちがう「愛の告白」。この時には積年の「北方4島返還」は8割引きの「2島返還」と言い直してしまった。ただ割り引いただけではない、メディアには「北方4島」という言葉すら使ってはならないと命ぜられていたという。この恋文と冒頭記事のトーンの違い、これぞまさしく「昨日の友は今日の敵」というべき有様だ。北方「4島」を「北方領土」と呼んでの「返還要求全国大会」なるニュースには、プーチンさんも「2島じゃなかったの」とびっくりのことに違いない。
まさに日露外交は「あざなえる縄の如し」、鳩山一郎首相にはじまり、安倍晋三首相において美しく終焉を迎え、今新たに巻きなおしを始めねばならないのだが、今や満身創痍の日露北方領土交渉。年寄った元島民の皆さんの声はオホーツクの波音にかき消されるばかりだ。今年もまた流氷の季節がやってきた。
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