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2007-09-30 19:47
沖縄「集団自決」に関する教科書記述削除問題について
玉木亨
大学教授
今朝9月30日付け朝日新聞は、その1面トップおよび2面、38面を割いて、「沖縄11万人抗議」「届かぬ怒り沖縄一丸」などの見出しで、沖縄住民の「集団自決」が軍の強制であるとの記述が教科書から削除されたことに抗議し、撤回を求める沖縄県民大会が沖縄で開催され、11万人が参加したとの記事を掲載した。他紙がこの集会をほとんど報道していないなかで、朝日新聞の報道はその大々的な取扱い振りとともに、報道のトーンが感情的、一方的なことで奇異の感を受けたが、そのような印象を受けたのは私だけであったのだろうか。
先の大戦で、民間人を巻き込んだ陸上戦が行われ、集団自決などの悲惨な惨禍を招いたのは、唯一沖縄県のみであり、そのことを本土の我々は一日たりとも忘れるべきではないであろう。しかし、だからといって歴史の真実を曲げて良いというものではない。文部科学省の検定で「日本軍が強制した」との記述が削除されたのは根拠のあることであり、集団自決は軍の命令ではなかったことが近年明らかになっている。住民が補償を得ることができるよう、軍の命令による自決であったことにしただけだったことが明らかになったからである。
確かに戦争は悲惨であり、避けるよう努力する必要がある。沖縄県民の皆さんの非常なご苦労に深く思いを致し、十分な対処をする必要がある。しかし、だからと言って、真実を曲げて、「日本軍が悪かった」というストーリーを作ってよいというものではない。それは、第一に不必要な国論の分裂を招き、第二に人民裁判の正当化により法治国家の基盤を揺るがすだけでなく、第三に対外的にも「だから、日本人の言うことは信用できない。南京大虐殺や従軍慰安婦の問題も同じことだろう」などの評価を広めるであろうからである。
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