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2017-12-29 17:48
「日中平和友好条約」を再認識すべし
金井 進
無職
日中間には「4つの基本文書」と言われる政府間で交換した外交文書があります。具体的には(1)1972年の「日中共同声明」(2)78年の「日中平和友好条約」(3)98年の「日中共同宣言」(4)2008年の「日中共同声明」(戦略的互恵関係)です。(2)の「日中平和友好条約」は政府間で批准された正式の条約であり、それ以外の3つの文書と同列に見做すべきものではありません。
1972年9月、田中首相訪中の際、公表された「日中共同声明」の第8項において平和友好条約の締結を目的として交渉を行うことが合意されましたが、約6年間の日中両国の外交努力を経て、1978年10月23日、東京で「日中平和友好条約」の批准書が交換され、同日より効力が発生しました。本条約の第一条第2項には、「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」とあります。しかしながら、39年間が経過した現在、尖閣列島の領土主権を巡り、両国政府は本条約を『名存実亡』(「有名無実」)に矮小化し、相互不信の罠に入り込んでいるように思われます。非常に残念に思います。
中国を仮想敵国とみなし、軍事的脅威を煽ることにより安保関連法を成立させることで中国の武力攻撃の抑止力になるとの主張もありますが、「日中平和友好条約」の第一条第2項を両国政府及び両国国民が今こそ熟読し、再認識すべきではないでしょうか?日本政府がなすべきことは武力による対応の為の安保関連法の執行ではなく、中国政府に対して「日中平和友好条約」を相互に遵守することの重要性を再確認させ、ギクシャクしている日中政府間の関係改善のための外交努力を地道に積み重ねていくことだと思われます。
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