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2017-03-15 14:20

あれから6年、二つの風との闘い

船田 元  衆議院議員(自由民主党)
 平成23年3月11日、あの日から時間が止まってしまった多くの御霊に、あらためて哀悼の誠を捧げたい。また未だに仮設住宅暮らしの3万5千余の方々、故郷を離れて暮らしている12万3千余の方々に、あらためてお見舞い申し上げたい。

 今私たちは二つの「風」と闘わなければならない。その一つは「風化」である。毎年この日に追悼式が国や被災自治体で開催され、多くのメディアも特集記事や番組で取り上げるが、残念ながら年々参加者が減り、話題も少なくなって行く。人間忘れるのが性かもしれないが、防災の観点からも決して忘れてはならない。3・11を思い出し、災害時に何を準備し何を施すべきかをきちんと覚えていれば、災害の発生を防げなくても、被害を少なくすることは出来る。三陸海岸には過去の津波の経験から、「ここより下に住むべからず」の石碑が数多く立てられていた。その教訓を守った家は助かった。

 二つ目の「風」は「風評被害」である。農産物に含まれる放射能はほとんど減衰したが、被災地産というだけで、買い控えが起こる。台湾では未だに日本産農産物の輸入は禁止され、一部でも輸入制限をかける国は、全世界の半分近くに上る。一日も早く解除を求めたい。さらに深刻なのは人的な風評被害である。避難した子どもたちが、クラスメイトから「菌が付いている」と謂れなき中傷を受け、いじめに繋がった例も報告されている。差別しようとしている大人の心を反映したものか、大人の意識改革を進めなければならない。

 二つの「風」との闘いは今も続いているし、これからも続けなければならない。これも犠牲となられた方々への供養であり、被災者の方々への励みになるはずだ。
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