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2007-04-16 10:51
慰安婦問題に関する米国議会調査局報告書を活用せよ
角田勝彦
団体役員・元大使
従軍慰安婦問題に関しては寒心にたえず、3月19日「従軍慰安婦問題ネガティブ・キャンペーンに民間を含め至急対処せよ」との寄稿を行ったが、その後「百花斉放」欄のみでも四条秀雄、岡本幸治、太田正利の各氏から同憂の投稿があった。
4月3日安倍首相がブッシュ大統領あて電話で直接「元慰安婦の方々に心から同情し、きわめて苦しい状況におかれたことにおわびを表明している」旨河野談話を継承していく考えを説明したのに対し、ブッシュは「首相を信じている」と応じた由で、4月下旬の首相訪米時には本件は懸案事項にはならないと見られているが、問題はその後である。4月12日時点でのホンダ決議案の共同提案者は3月19日寄稿時の42人からまた増えて77人になったという。可決されても法的拘束力もないと呑気に構えていられれば良いが、欧米有力マスコミまでこれだけ大きく報じている状況から見て、そうも行くまい。清教徒的伝統の強い米国の良き市民へ与える国辱的悪印象も危惧される。そもそも歴史的真実の追究は良心の問題でもあり、適当に処理すべきものではない。
私は、3月19日寄稿で、リベラル派を含め米国市民(及び議員)の良識と公平性に信頼し、民間団体が、ホンダ決議案などの「事実に基づかない部分」を英語でインターネットを通じ広く訴えるのが良策と主張したが、このほどそのために有益な資料が発表された。すなわち米国議会調査局がホンダ決議案に関連して作成した3日付の「日本軍の『慰安婦』システム」と題する23頁の報告書である(4月12日付産経ワシントン=古森義久発)。
河野談話は、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送について旧日本軍が直接あるいは間接に関与したとした上、慰安婦の募集について「官憲等が直接これに加担したこともあった」としている。なお河野衆院議長は、この認定について、昨年11月のアジア女性基金とのインタビューで、政府調査での元慰安婦16名への聞き取り結果を理由に挙げ「明らかに厳しい目にあった人でなければできないような状況説明が次から次へと出てくる」と述べ、談話を取り消すつもりは全くないと強調している(3月27日付朝日夕刊)。この部分が、「日本軍による女性の強制徴用」の主張を裏付けるものとされたのである。いわゆる「日本軍による20万人女性の性的奴隷化」である。インドネシアのオランダ人女性の例に見るような個別違法行為としての強制(戦犯としてすでに処罰)のみならず、日本軍全体として強制があったとする主張である。
これに対し今回の米国議会調査局報告書は「日本軍による組織的・政策的な強制徴用はなかった」という見解を示している由である。米国という客観的第3者の権威ある機関の発表であり、我が国としても、これをできる限り活用して、1996年国連人権委員会クマラスワミ特別報告者も同調したような「性的奴隷集団強制徴用」の汚名をそそぐべきである。なお、事実が正されれば、河野談話の訂正がなくても、されたと同じ効果が生まれることが期待されよう。
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