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2015-11-30 15:49
一票の格差問題の前にすべきことがある
赤峰 和彦
自営業
11月25日、最高裁は一票の格差が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選を「違憲状態」と判断しました。一方、選挙の無効を求めた訴えは退けています。違憲訴訟を起こしたグループは、選挙結果の無効を勝ち取るだけでなく、安倍政権そのものを否定したいと考えています。表向きは憲法論を展開していますが、本当は政権打倒のための手段として裁判をしているにすぎません。現在、小選挙区の都道府県格差は1.78倍にすぎず、合憲の範囲内です。問題を解決するには、格差が2.13倍になっている比例区の調整をすれば済みます。さらに格差を少なくするには、都道府県内の小選挙区割を細かく調整すればいいだけです。
問題はこれを進めるには、国会議員は自らの身を切って改革しなければならないところにあります。こうした事情から、野党議員は総論では賛成しつつ、各論では反対しています。自民党は比例定数を現行の180から30減の150に削減するなどの案を考えています。これに対して共産党は、「最高裁判決を守れ」としながら、「身を切る改革といって定数削減するのは不当」と削減そのものを否定しています。民主党は政権批判を展開していますが、対案を示すことはありません。
こうした現行の選挙の公平性の問題は、確かに当面の国会運営上是正する必要があるのかもしれません。しかし、もっと根本的な視点に立って考えたとき、衆議院議員475名、参議院議員242名は必要な人数なのか、そもそも参議院は必要なのかという議論が先にあるべきだと考えます。現在の国会議員のうち、国家と国民の安全や幸福を本当に考えて議員活動をしている人がどれほどいるでしょうか。多くの議員は名誉欲や、権勢欲、あるいは何らかの利益代表として議員になっています。定数是正よりも前に、まともな政策議論が活発に行われる国会をつくる方が重要ではないでしょうか。
そのためには、国のあり方を抜本的に考え、憲法をより良いものに改正し、それに基づき議会のあり方や選挙制度を作り直すことが望ましいと思います。そうすることで、国会議員は政治家としてとしての志が改めて問われ、適性に欠けている議員や、対案を示すことの出来ない政党は淘汰されるような議会になると思います。今後、安倍政権では憲法改正論議が活発化することが予想されます。国家の根幹である憲法であるなら、国会の本来のあり方についても深く考え、国民が等しく安全で豊かな生活が出来るような国造りのもとを作っていただきたいと願っています。
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