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2015-10-23 05:31
政府・与党は臨時国会より党首討論をせよ
杉浦 正章
政治評論家
こともあろうに産経までが、社説で臨時国会問題について「『召集の必要性は感じない』と口にする政権の鈍感さにはあきれる。」などと浅薄な論調を展開しているが、政府・与党は野党の自己顕示のための臨時国会など招集する必要は無い。秋に長期の臨時国会を召集したら、政府・与党は一年中国会にかかりっきりになり、内政・外交上の重要課題処理に支障を来す。なぜなら通常国会を戦後最大の95日間も延長し、これが事実上臨時国会の代わりになっているからだ。3か月の臨時国会といえば、最長の部類に属する。政府は閉会中だからと言って休暇に入るわけではない。野党も遊んでいないで、安保法制で示した狭い了見を改めるため外遊して、国際常識を身につけるべきであろう。ただ、与党が検討している予算委の閉会中審査に加えて、多忙な政務の時間を割いてでも、首相・安倍晋三は党首討論に応じてはどうか。
いくらひまだからと言って、真面目に勉強している真面目な生徒を、野党は脇からいじめて勉強の邪魔をするいたずら小僧であってはなるまい。真面目な生徒は外遊日程や予算日程などが立て込んでいる。首相・安倍晋三は現在訪問中のモンゴルに加えて、月内はほぼ中央アジアにいる。11月は1日に日中韓首脳会談があり、15日から21日まではG20の首脳会議やAPECの首脳会議が立て込んでいる。12月に入れば待ったなしの予算編成だ。民主党は昨年秋に、松島みどりや小渕優子の不祥事を鬼の首を取ったかのように取り上げて追及、辞任に追い込んだが、結局両議員とも不起訴に終わっている。大臣の首を取ることが仕事であっては、民主党はじめ野党の支持率が全く上がらず、低迷するのも無理もないではないか。今回も3閣僚の不祥事追及を最大の眼目として臨時国会召集を主張するが、その内容はゴミネタもいいところだ。週刊誌如きの報道でいちいち大臣更迭に持ち込んでも、絶対に支持率が上がることはないのだ。単に国政の邪魔をしているだけということになる。
そもそも民主党政権の体たらくを考えてみるがよい。2011年9月に招集した臨時国会は、たったの4日間。解散国会を除けば、講和条約会議に出席する吉田茂が、報告のため3日間招集したのに次ぐ短さだ。それも短い理由は首相・野田佳彦の外国人献金疑惑が浮かんだからに他ならない。その後野党の要求に応じて延長しているが、自分のしたことを棚に上げて、伴食閣僚のゴミみたいな話を取り上げて、安倍の緊迫する国際情勢への取り組みを邪魔していいのか。だいいち「先に通常国会を延長したから気にくわない」と国会を止めたのは、野党ではないか。言っていることと、することが違いすぎる。政府・与党も、朝日が唱え、野党がおうむ返しで追随するように「安保隠し」や「3閣僚隠し」などというケチなことで、国会開催を拒否しているわけではあるまい。安保は紛れもなく圧勝して、国民の内閣支持率は上昇している。もう済んだ話である。3閣僚も国外に逃亡をはかるわけではない。質問するなら、週刊誌如きの報道を根拠にするのではなく、自らの調査にもとずいて通常国会で質問しても、遅くはないのだ。首を取れれば、参院選が近いから有利になることが分からんとは、野党でなくて、キツネ憑き「野狐(やこ)」や野狸(のだぬき)の類いかと思いたくなる。
政府・与党は臨時国会を召集すれば、吉田や民主がしたようにごくごく短期のものをやれないわけではない。しかし、名目と形式だけの臨時国会を招集して何になるのか。それよりも暇を見て実質的な審議に応ずれば十分だ。既に決めている11月10日と11日の両院の予算委員会集中審議に加えて、TPP(環太平洋経済連携協定)関係で農林水産委員会と経済産業委員会の合同審査をやれば、実質的に論点を浮かび上がらすことが出来るではないか。これに加えて、筆者は党首討論をやればよいと思う。通常党首討論は国会開会中に行われるが、国会が解散されれば選挙中でも行われる。形式は国会でやろうが、マスコミ主催でやろうが、どちらでもいい。時間も45分などと短いものではなく、野党もすべて参加できるものにすればよい。2~3時間じっくり討論して問題点を浮き彫りにしてはどうか。政権が多忙なことを理解して、野党もごり押しばかりせず、自ら勉強する期間とすべきではないか。安保法制で見せた偏狭な世界観を改めるため「世界の常識ツワー」でも企画して、外遊してはいかがかな。
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