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2014-11-30 10:14
世界を振り回したビッグフォー
川上 高司
拓殖大学教授
米フォーブス誌が、今年もっともパワフルだった人々のランキングを発表した。同誌が毎年発表しているランキングだが、この「powerful」の意味は力を行使して世界に影響を与えたという意味で、その行使の結果の是非は問わない。要するにどれだけ世界を振り回したか、という評価である。そのランキングを辿ってみると2014年の世界をふり返ることにもなる。
今年堂々の1位に輝いたのは、ロシアのウラジミール・プーチン大統領である。このランキングに異論を挟む余地はないだろう。ウクライナとの紛争、クリミア半島の編入からヨーロッパとの不仲をひきおこし、アメリカとの協調関係にヒビを入れた。欧米の対露経済制裁にも屈せず、中国との天然ガスの大型契約を締結して見せた。ロシアの地政学が復活したかのような、プーチンの一人舞台だった。
第2位は、昨年に続いてアメリカのバラク・オバマ大統領である。先日の中間選挙では大敗を喫したが、世界の舞台ではいまだその力は大きい。ISISへの空爆開始で再びイラクで戦争が起こるのか、という不安を世界に巻き起こした。戦争をしてもしなくてもアメリカは世界を振り回すのである。第3位は中国の習近平国家主席である。外交では上位2名ほどの目立った成果を上げてはいないが、ロシアとの大型契約を締結してユーラシアのハートランドの存在感を示すなど影響力は抜群である。第4位はやはり昨年同様ローマ法王である。世界のカトリック教会の頂点に立つ法王の影響力は政治とは別の意味で大きい。
そして第5位も昨年同様ドイツのアンゲラ・メルケル首相である。ウクライナ問題でロシアとヨーロッパが対立する中、プーチン大統領からの信頼が厚い同首相はロシアとヨーロッパの橋渡しをして関係悪化を食い止めるべく尽力した。その政治的手腕はいまだ健在である。もちろん、世界でもっともパワフルな女性のトップでもある。ここ数年、上位5名は順位の入れ替わりはあるものの、顔ぶれは変わらない。この4カ国を中心に世界は動いているとも言えよう。
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