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2014-07-24 11:10
安保法制の整備について
船田 元
元経済企画庁長官
武力行使に至らないグレーゾーンにおける自衛隊の対処、PKOなどにおける自衛隊の活動範囲の拡大、そして集団的自衛権の制限付き行使容認について、自民・公明の間でほぼ合意が得られた。グレーゾーン分野では、日本の離島が外国のゲリラに不法占拠されたような時、警察力ではなかなか対応出来ず、自衛隊がその排除に出動することが考えられる。PKOで自衛隊が海外派遣され、近くにいる外国軍隊のPKOが武装集団に襲われた時、彼らを救助するという「駆け付け警護」が可能となる。
そして集団的自衛権の行使を限定的に行う原則としては、新たな武力行使の3要件の設定が提案された。第一に、我が国並びに我が国と密接な関係にある他国が攻められ、国民の自由と安全に明白な危険が起こったこと。第二に、国家の存立と国民の権利を守るため、他の手段がないこと。そして第三に必要最小限の武力行使に限られることである。このような条件の下での武力行使に、国際法上の集団的自衛権が含まれるという、新たな解釈を認める内容だ。
このような3要件の下では、集団的自衛権の行使を仮に行うとしても、二重三重の歯止めがかかるとして、公明党も理解を示してくれた。こののちは、閣議決定を経て、新解釈に沿って自衛隊法や周辺事態法など、十数本の法律改正が必要となるが、国会の審議では個別事態の妥当性が慎重に吟味されることになる。マスコミ報道では、「米軍の行う戦争に巻き込まれる」とか、「戦争をし易い国になるのではないか」と騒がれるが、これは大きな誤解である。新しい3要件を見れば分かるように、集団的自衛権を仮に行使する場合でも、我が国の安全が侵されるという厳しい状況でしか発動されないこと。また外交努力をとことん追求した上で、それでも対処出来ない時に、初めて発動されること。
さらに今回の措置は、外国から攻められにくい状況を作ること、即ち「抑止力を高める」ためのものであることを、理解すべきである。しかしこれらのことについて、政府自民党の説明は、まだまだ不十分であり、国会内だけでなく、あらゆる機会を捉えて、分かりやすく説明する義務があると考える。私も憲法改正についての地方行脚を続けているが、このことについてしっかりと説明して行きたい。
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