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2014-02-27 11:19
究極の選択:アルカイーダか、アサドか
川上 高司
拓殖大学教授
1月22日にシリア和平会議「ジュネーブ2」が開催された。アサド大統領は早くから参加を宣言していたが、反体制側は態度を決めかねていた。反体制側は足並みが揃わない。内戦の様相も変わってきている。もともと民主化を求めて立ち上がったシリア自由軍は夢破れて戦意を喪失しつつあり、かわって主導権を握っているのがアルカイーダ系の過激派グループ、アル・ヌスラとISISである。とりわけISISはイラク西部へも勢力を伸ばしており、破竹の勢いである。このままいけば、シリアの内戦後はアルカイーダ系の国家となりかねない。
そんな危機感から欧米諸国も対応が変化しつつある。特にアメリカにしてみれば、アルカイーダ系の過激派が政権を握る国家が誕生することは許し難い。そのためオバマ政権では、以前はアサド大統領の退陣を要求していたが、いまではアサド政権のほうがましだという考えが主流になりつつある。イラク大使を務めたベテラン外交官のライアン・クロッカーは「アサド大統領が一番ましな選択肢だ」と、政権の存続を主張している。サウジアラビアもイスラム過激派の台頭には強い懸念を持っている。周辺国も含めて「シリアを過激派国家にしたくない」というコンセンサスが、国際社会に生まれつつあるようだ。
1月13日にはケリー長官とラブロフ外相がパリで「ジュネーブ2」の打ち合わせをして、入念な準備を整えつつあった。ケリー長官は反政府グループに会議に出席するよう圧力をかけていたし、米露がシリア問題解決にかける意欲はなみなみならぬものがある。
もちろん「ジュネーブ2」でシリアの内戦は解決しない。だが国際社会が本気でシリア解決に取り組むという姿勢を示して、過激派の台頭を封じ込めなくてはならない。イランとアメリカの宥和路線、米露の協調路線、イランとトルコの協調外交、シリアの人道問題など、追い風が吹く今こそ踏み出す時なのだろう。
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