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2013-10-24 12:13
いよいよ消費税アップへ
船田 元
元経済企画庁長官
昨年の民自公3党が合意した「税と社会保障の一体改革法」に基づき、安倍総理は10月1日に、スケジュール通り来年4月から消費税を8%に上げる決断を下した。その際の安倍総理の表情は、やや緊張していたように見えた。無理からぬことで、大平内閣が昭和54年「一般消費税」導入を示唆した総選挙で自民党は惨敗し、断念せざるを得なかった。現行の消費税を初めて導入した平成元年の竹下内閣も、3%から5%にアップした際の同9年の橋本内閣も、時を経ずして退陣に追い込まれている。時の政権にとり、消費税は言わば「鬼門」だからである。その歴史を知る安倍内閣は、景気弾力条項があるにも関わらず、「アベノミクス」を必死で追い求め、ようやくデフレ脱却の入り口に到達したことを確認した上で、今回の決断を行った。
しかしこれだけでは、早晩景気は「腰折れ」の懸念を抱えることとなり、折角のアベノミクスも地方に浸透しないまま、終わってしまう恐れもある。そこで政府自民党は協力して、「経済パッケージ」を決定した。そのひとつは、中小も含め企業が元気になるよう、使い勝手のよい設備投資減税や、給料を上げた企業への優遇税制などで、1兆円の財政出動をすることである。また来年度予算とあわせて、今年の補正予算を5兆円規模で編成することも決めた。
来年度の消費税アップに伴う税収増が約6兆円なので、ほぼそれに見合う財政出動で、景気の腰折れを回避しようとする。なお評判の良くない「復興特別法人税の1年前倒し廃止」については、それに見合う予算の裏付けをきちんと行うことで、調整を続けることとなった。今回の消費税アップ決定については、多くの方々から批判や懸念が寄せられているが、まずは我々の景気対策をよく分析して頂けるとありがたい。さらに増収分は、専ら社会保障制度の安定化に使っていくことも考慮していただきたい。
今回の消費税アップ決定は、半ば国際公約となっている側面もある。我が国がGDPの2年分にもおよぶ赤字国債を抱えながら、ギリシャやポルトガルのように騒がれないのは、国債の多くを日本人自身が買っているからという側面もあるが、やがて財政再建軌道に日本が戻るだろうとの期待があるからだ。今回のタイミングは、その期待を裏切らない最後のチャンスではないだろうか。将来世代のことを考え、日本の国際的な立場を見据え、冷静な判断を切に望んでいるが、今後景気の腰折れの懸念があれば、時を失することなく、機動的に景気対策を実行することを、決して忘れないようにしたい。
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