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2013-07-06 21:40

アベノミクスは過度の円安へ?

河東 哲夫  元外交官
 海原でヨットをしていて一番こわいのは、追い風でセールしていたのが、急に風向きが変わる時だ。世界の金融市場は、今がそうした風向きが変わる危険な時に見える。これまでのじゃぶじゃぶの金融緩和を絞るかもしれないと、米連銀のバーナンキ議長がほのめかしただけで、世界の株式、金融市場は大荒れだった。

 「いますぐ絞ることはない」という言葉が麻薬のようにばらまかれて、パニックが収まりはしたものの、7月5日発表の雇用統計も好調だったし、金融緩和が出口に向かい始めているのは確かだ。そこで問題になるのは、欧米より半周遅れで金融緩和に踏み出した日本が大きなリスクを蒙るかもしれないということだ。それは米国で金融引き締めのため金利が上昇気味になり、世界の資金がそれにひきつけられて、急激なドル高、円安になるのではないかということだ。

 米国は国内では金融を引き締めながらも、株式・債権市場に日本が低利の資金を供給するのは大歓迎、どころか日本に圧力をかけてでもそうさせるだろう。それは一層の円安を招く。

 アメリカ仕込みのアベノミクスが、アメリカに一方的に利用されることにならないよう、そして、参院選までは何とかごまかし、参院選後にひどいことになる、というようなことにはならないよう、お願いしたい。
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