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2013-04-15 10:05

少子高齢化の怖さ

船田 元  元経済企画庁長官
 私たちは挨拶やスピーチの枕詞として、しばしば「少子高齢化」を使っている。使い慣れてしまった感がするが、実は大変怖い事態が訪れることが、先頃発表された政府の人口動態予測で明らかになった。2020年には、都道府県の全てで人口が減少をはじめるということ。2050年には日本の人口が4割減少し、65歳以上の高齢者が36%を越えるということである。

 世界で類を見ない「超高齢化社会」が訪れる訳だが、それを演出している影の主役が「超少子社会」なのだ。我々はその双方を相手に、対策を講じなければならない。高齢化に対応するには、医療・介護・年金の制度が持続可能なものにならなければならない。若い人々の負担が耐えられなくなり、国の支援も限界になれば、そのサービス水準を押さえなければならない。

 少子化に対応するには、子供を生み育てる環境を飛躍的に改善する方策、例えば保育所の量的改善や、産休や育児休業を男性も含めて取りやすくする環境づくりが急務である。また若年層の生産性を、ドラスティックに向上させなければならない。そしていずれの局面でも対応しなければならないのは、国の借金を出来るだけ早く、適正水準に下げておくことだ。日本がGDPの2年分の借金を抱えていながら、1.3年分で大騒ぎとなったギリシャのように騒がれないのは、そのほとんどを日本人が所有しているからだ。

 しかし、ここまで高水準になれば、何かのきっかけで国債引き受けがうまくいかなくなり、返済を迫られる事態も想定しておく必要がある。決して子供たちに「ツケをまわす」べきではない。我々に課された宿題は、大変大きく困難なものだが、他人任せには出来ない。オールジャパンで整合性のある対策を講じなければならない。
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