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2013-03-23 17:04

中国の環境問題について思う

船田 元  元経済企画庁長官
 先日は在京の中国大使館員と、じっくり話し合う機会があった。領土問題はしばし脇において、環境問題についての中国政府の対応を話し合った。この春中国本土からは、従来の黄砂に加えて、PM2.5と呼ばれる微粒子状物質が、偏西風に乗って幾度となく日本に到達している。西日本ほどひどいが、関東でも「煙霧」が観測され、視界が極端に下がる日もある。

 呼吸器疾患の人や子供たちには、健康を脅かしかねない状況だが、面談した大使館員も、大分恐縮していた。彼の言葉を借りれば、原因は首都・北京内外の車の排気ガスや、周辺の製鉄所、セメント工場等で燃やす、品質の良くない石炭だと言うことだ。しかし同時に、彼はこの状況を改善するには、相当な時間と投資を必要としていると指摘した。本来は原因者である中国政府が、もっと本気で対策をとるべきではないかと思うが、やや悠長に構えている態度はいただけない。

 翻って我が国の環境問題の歴史を紐解くと、我々も公害問題に最初から迅速に対応出来たわけではない。公害訴訟が起こり、マスコミが取り上げ、環境庁ができても、なかなかきちんと処理出来なかった。中国も日本が歩んできた歴史を辿っている訳だが、違っているのは、環境破壊の規模が桁外れに大きいこと。その影響が簡単に国境を越えていること。そして公害を克服したお手本が近くに存在することだ。

 まず第一には、中国政府も人民も、「環境重視」のマインドをしっかり持って、自力で対応することが肝心だが、日本としても「対岸の火事」という態度では済まされず、過去を克服してきた経験と叡智を、積極的に教えていくべきではないか。
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