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2006-11-20 23:15
対北朝鮮政策の出口戦略を描くべきだ
明道靖之
大学院生
この程、米国において行われた中間選挙における民主党の大勝により、イラク駐留米軍の撤退論が、米国の対イラク政策の出口戦略として模索されつつある。駐留米軍が撤退することが出口戦略として適当か否かは別として、曲がりなりにも出口戦略はある。これと比して、北朝鮮による核兵器保有問題については、利害関係国は出口戦略を描けずにいる。APEC首脳会議では、対北朝鮮の経済制裁の履行について話し合われたものの、利害関係国の声は首脳宣言の形ではなく議長声明の形でしか反映されなかった。この際、テポドンを差し向けられた日本こそが北朝鮮の脅威を最大限に認識し、明確な出口戦略を描いていく必要があると考える。
それでは、日本の描くべき対北朝鮮の出口戦略とは如何なるものか。敢えて、愚見を呈するのであれば、以下の二点に集約されると考えられる。まず第一点目として、宥和政策に阿ってはならないということである。これは、かつてクリントン政権が主導し発足させたKEDO(朝鮮半島エネルギー機構)が、北朝鮮の核兵器開発を阻止するのになんら効果をもたなかったことに鑑みても明らかである。第二点目として、強制力を担保とした政策を執る必要があるということである。一般的には国際法の強制力は極めて脆弱であるが、現在北朝鮮の経済制裁に関して出されている国連安保理決議の拘束力は強力である。
さし当たっては、日本としてはこの経済制裁決議の活用を考えるべきであろう。経済制裁を使って、北朝鮮経済を極限まで追い詰めると同時に、日本としては、日本と北朝鮮のバイラテラルな交渉を開催し、ムチとアメの双方を使いこなす必要がある。この為には、拉致問題と核保有問題を同列に交渉の場におくのではなく、核保有問題にのみ焦点を絞る必要がある。外交交渉で二兎を追うことは危険であり、失敗の可能性が高まる。核兵器実験国を核兵器保有国にさせない出口戦略を描くことこそが、日本の最優先の国益である。そのためには二国間交渉というアメも使う必要があると思う。
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