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2012-11-10 15:26
ペトレイアスCIA長官辞任の奇怪な理由とタイミング
梨絵 サンストロム
ジャーナリスト
11月9日に、デヴィッド・ハウエル・ペトレイアスCIA長官辞任のニュースの第一報が入ったとき、誰もが驚愕したのは、不倫問題という辞任の理由であった。
イラク・アフガニスタン戦争で輝かしい功績を挙げた元陸軍大将ペトレイアスの人格と軍歴は、アメリカ国民や政治家たちの派閥を超えた人気と敬愛を集めていた。[ペトレイアス辞任]と聞き、誰もが思い浮かべたのは、リビアのベンガジにおけるアメリカ大使殺害事件に関する彼の責任問題であった。ジャーナリストやメディアの多くは、ペトレイアス辞任のタイミングに疑惑を持っている。ペトレイアスは、ベンガジ事件に関して来週11月15日に上院聴聞委員会に出頭することになっていた。辞任によって、彼は出頭と証言を免除される。オバマ政権にとっては何と都合の良いタイミングか。
さる9月11日にリビアのベンガジにあるアメリカの領事館がイスラム武装集団によって襲撃され、アメリカ大使クリストファー・スティーヴンスと3人のアメリカ人が殺害された。この事件で、国務省とCIAの不手際な対策、オバマ政権によるカヴァーアップ疑惑が指摘されていた。ジョン・マケーン上院議員は「ウオーター・ゲイト事件以上の疑惑だ」と指摘され、今月中旬には議会で聴聞会が開かれる大問題に発展しつつある。
再選したオバマ政権下でペトレイアスの留任は当然と思われていたし、辞任という爆発的ニュースを選挙後3日目の今日になって発表した事実に、多くのジャーナリストたちは、オバマが選挙に不利な事件を選挙後まで引き延ばしていたのではないか、という不信感を持ち始めている。透明な政治を売り物にしてきたオバマの不透明極まる政治の一端、とパンデットたちは口を揃える。保守派のみでなく、CNNやワシントン・ポスト紙まで、タイミングの疑惑に言及し始めた。不倫が大統領やペトレイアス夫人の知るところであれば、ブラックメールの理由にもならず、「なぜそんな理由で辞任するのか」と、ワシントン・ポスト紙のエズラ・クラインはツイッターしている。ベンガジ・ゲートと呼ばれ始めたこの疑惑が、第二次オバマ政権をどのように揺るがすかが、アメリカ・メディアの注目の的になって行くだろう。
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