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2006-11-01 12:55
「更新」された脅威と核危機
佐々木秀典
大学院生
10月初旬に北朝鮮により行われた核実験から半月が経ち、国際社会は北朝鮮が核実験を行ったか否かという現状分析から、行われた核実験に対していかなる対処をすべきかという点に議論の軸足が移ってきている。これに対しては、様々な識者の意見が展開されており、筆者の愚見が及ぶところではない。それにも関わらず、敢えて北朝鮮の核実験に対して意見を呈するのは以下の理由による。すなわち、北朝鮮が核実験を行ったか否かという現状分析に対して疑問を抱かざるを得ないからである。
現状分析とは、単に北朝鮮が核実験を行ったか否かについて科学的に分析するのみではない。それは、北朝鮮が核実験を行ったことが、日本の安全保障環境に対していかなる脅威を構成するかに関して現状分析を行うことを含むのである。これに対して、有用な示唆となりうるのが日本国際フォーラム第26政策提言「新しい脅威と日本の安全保障」である。本稿では、テロ等の「新顔の脅威」に加えて、伝統的な安全保障が技術革新により「更新された脅威」となることに対して認識せよとの鋭い指摘をしている。北朝鮮によるミサイル発射実験から続く核実験への一連の流れは、日本の安全保障環境にとって正に「更新された脅威」に他ならないのである。
この「更新された脅威」を現状分析として認識した上で、それに対する対処が試みられなければならない。孫子曰く「彼れを知らずして己を知れば、一勝一負す」とのことであるが、現段階での我が国の対処法は己を知っているかといえば、国連における強制措置が決定されたにも関わらず実行できないというお粗末な有様である。となれば、我が国の対処法は「彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必らず殆うし」とならざるを得ず、こうした愚は避けなければならない。「更新された脅威」への対処法は、上記政策提言において識者が論じており、私が愚見を呈するまでもない。
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