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2012-01-23 12:06
秋入学の前にセメスター制の採択を
大藏 雄之助
杉並区教育委員長
東京大学が秋入学に移行すると発表し、有力大学がこれに追随する意向を示している。世界の大多数の大学の入学時期を合わせることによって相互の留学を容易にするというのが最も大きな理由であり、これで外国の優秀な学生を呼び込もうという狙いであろう。だが、新聞報道によるかぎり、こんなに簡単に5年後の実施を決めてよいものか疑問であり、それ以前に、わが国の大学制度全般の見直しをすべきではないか。
例えば「アメリカのハーヴァード大学も9月前期、2月後期としている」のを参考にするということのようであるが、予算と教授陣移動こそ9月を区切りとしているものの、学生に対する講義は、日本が1年間を単位としているのに対して、半年で完了するセメスター制である。したがって、秋学期にも春学期にも同じ講義がある。つまり、秋春2回の入学を前提としているのである。
東大は、春秋2回の入学は教授陣の負担過重として否定しているが、1年間の講義を半年2回にするのがそれほど負担であろうか。多くの大学で行われている通年の講義を半年に縮約することは可能であるし、私の経験からして、現在のアメリカの半年の講義の方が程度が低いとは思えない。セメスター制は学生にとってメリットが大きい。万一単位を落とすと、日本では同じ課目をまた1年履修しなければならないが、セメスター制なら半年の遅れですむ。大学間の国際交流を活発にするためにはセメスター制は避けて通れない。
もう一つの問題は授業料である。日本では仮に卒業に1課目不足していても1年分の学費を納入しなければならないが、アメリカやカナダのほとんどの大学では取得する単位ごとに授業料が決まっており、同じ課目数を1セメスターでとっても、2セメスターに分けても負担は同じである。アメリカの学生は経済的に自立するというのが基本であるから、この制度によって、資金を貯めてから、あるいは働きながら、またはじっくり勉強する考えで長めに在学する計画を立てることも可能である。秋入学に先立ってセメスター制を採択すべきだろう。
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