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2006-09-27 17:26
アジアで日本企業は信頼されているか
トラン・ヴァン・トゥ
早稲田大学教授
今後のアジアの安定・発展のために、特に東アジア共同体の構築に向かうために、各国の各界の様々な努力が必要である。とりわけ日本の役割が大きいことはいうまでもない。日本の外交努力、経済協力政策のあり方はもちろん重要であるが、直接投資を通じてアジア経済の相互依存関係を強めてきた日本企業の行動やイメージも、アジアでの日本への信頼に大きな影響を与えると考えられる。
アジアにおける過去20年間の直接投資導入の累計額(認可ベース)をみると、中国では日本企業が527億ドルで、アメリカ(506億ドル)、欧州(348億ドル)より多い。ASEANでも日本(1270億ドル)はアメリカ(761億ドル)と欧州(912億ドル)より多かった。しかも日本の投資は欧米と比べて製造業に集中する傾向があるので、日本企業がアジアの工業化に間違いなく多大な貢献をしていると言える。
しかしながらアジアの大学生からみて就職先としての日本企業は必ずしも魅力的でないようである。中国で活動している内外企業に対する人気度調査の昨年の結果によると、日系企業はトップ15社に入っていない。ソニーがかろうじて17位に入ったのみである。私の出身国ベトナムでの直接投資(実行額の累計)は日本がトップで、しかも今後増加していく傾向が示されている。しかし、各種の情報を総合してみると、ベトナムでも日系企業は欧米系企業と比べて一般的に人気がないようである。
これが現状だとすれば、その理由はどこにあるのだろうか。日本企業の慣行、企業文化が現地に馴染まないのだろうか。管理層人事の現地化が依然として遅れているのだろうか(これが理由で、四半世紀前にタイで日系企業が批判されていた)。
今回は問題提起に止めて、次回また考えてみたい。今後のアジアと日本との関係にとって極めて重要な課題であるので、諸賢のご意見もお伺いしたい。
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