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2011-10-21 11:52
(連載)難民支援に外部の目を(2)
大富 亮
チェチェンニュース発行人
産婦人科の費用が出せないなら、その領収書を難民に戻せばいいだけなのに、「全額返金せよ」とは、穏やかではない。まさか、そんなやりとりがあったなどとは信じられず、支援者が弁護士を通して問い合わせたところ、事実だという回答があった。こういう話は氷山の一角で、私自身が体験したことも含めて、枚挙にいとまがない。たくさん聞くにつれ、どうもRHQや外務省には、何かの誤解があるのではないかと思うようになった。
難民はモノではない。子どもが増えることも当然ある。RHQや外務省の職員と同じように。それなのに、唯一の保護費が妊娠という行為を排除するのは、一種のジェノサイドではなかろうか。アパートの家賃もそうで、出産という、人生に当然起こりうる変化を、契約書にないからといって不支給の理由にするのは、嫌がらせのように思われても仕方がない。こんな理由で保護費を打ちきられてはたまらない。
どうしてこんなことが起こるのか。もともと、難民支援は政府が直接、責任をもってすることだ。だが、日本では政府が全額出資してRHQという民間団体を作り、民間団体であることを理由に、基準を明らかにせずに保護費を采配する(もちろん、保護費は全額、政府が出している)。この体制がそもそも間違いの元で、責任があいまいになる。難民からすると、何だかんだ言ってもRHQ以外には保護費をもらえないので、表立って抗議しにくい。また、マスメディアがあまり追及しない分野なので、不透明な構造が温存されている。これではだめだ。
これからは、保護費に関して、さまざまな立場の民間人が参画して、クリアで、人道的なものにしていかなければならない時代だと思う。政府は難民と対立するのではなく、彼らの日本社会での自立と定住を支援していくもののはずだし、難民支援者と政府も、ともに難民を助けることができるはずだ。予算に上限はつきものかも知れない。しかし国際社会に約束した、難民条約の誠実な履行という義務がある。現状では、RHQと外務省は社会の無関心に甘えて多くの難民への保護費支給を拒否し、結果として彼らを迫害していると言わざるをえない。(おわり)
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