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2011-10-20 18:23
(連載)難民支援に外部の目を(1)
大富 亮
チェチェンニュース発行人
「RHQ」という変わった名前の団体がある。外務省の外郭団体で、正式には「アジア福祉教育財団難民事業本部」という。日本にたどり着いた難民、たとえばビルマやクルド、チェチェンの人々は、まったく収入のあてがないので、RHQ が「保護費」という、一種の生活保護を支給する。保護費は大人が一日1,500円。家賃のためにひとつき最大6万円。医療費はそのつど申請する。
日本での難民認定には、年単位の長い時間がかかる。それを待つ間、難民申請者が受け取ることができる公的支援は、この保護費しかない。申請中は就労を許可されない場合も多いので、保護費が受け取れないことは、即、無収入になることを意味する。日本は難民条約に加盟しているので、世界で発生した難民のある部分は引き受ける義務がある。それを支えるのが、こうした難民の生活、就業支援なのは言うまでもない。
だが、実際にRHQの審査を通って、保護費を受け取れる難民は少ない。受け取った場合も、保護費は4か月を一つの単位にして、そのつど審査を受ける。その間に難民認定が出る場合はほとんどないから、4か月という単位には意味がないが、審査で多くの難民が、容赦なく保護費を打ちきられる。この審査は RHQ、外務省人道人権課によって行われ、外部には判断基準も示されない。
そして、こんなことが起こってしまう。中近東から来たAさん一家は6人家族。断続的に保護費を受け取っていたが、家賃分が受け取れなかった。アパートの契約書に、末の子どもの名前がないことだけが理由だった。名前がないのは、入居のときに、まだ生まれていなかったためだ。こんな、不備ともいえない不備から、保護費が受け取れなくなってしまう。Bさんはパキスタンから来た難民申請者。家族は5人。奥さんが妊娠の可能性があったために産婦人科で診察を受けて、その領収書をRHQに提出したところ、「妊娠検査の費用はRHQでは支払えないことになっている」と言われた。さらに「これは不正請求だ。今まで支給した保護費を、全額返金しなさい」と通告されたのだった。(つづく)
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