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2011-04-30 10:19

拙訳『発展途上世界の観光と開発』の紹介

阿曽村 邦昭  大学教授、元外交官
 今般、D.J,Telfer & R.Shrpley 共著の『発展途上世界の観光と開発』を、阿曽村邦昭(ノースアジア大学法学部教授・国際開発学会会員)と鏡武(帝京大学経済学部教授、元大使)の共訳で古今書院から出版しましたので、訳者の立場から、その意義を紹介させていただきます。

 本書は、グローバルにますます増大する観光需要に応じ、発展途上諸国の開発手段として観光がもたらし得る国民所得の増加、雇用の創出、地元経済の活性化等のプラス面とともに、環境破壊、外部資本の利潤追求と地元エリートの結託による地元一般民衆の疎外、利潤の流出、伝統文化の変容ないし破壊といったマイナス面も多々存在することを、各地の詳細な具体例を挙げて説明しています。

 次いで、本書は、このマイナス面を最小限に抑えて「持続可能な観光開発」に留意することの重要性を説き、環境問題、行政的な管理・運営の問題、社会的・文化的保全など様々な角度からほりさげた分析を展開しています。

 本書は、発展途上世界の開発の中でも、観光という特色のある分野を、開発問題全般の中で様々な視点から包括的に取り上げている点で、本邦に類書がありません。また、発展途上地域の観光開発といっても、先進国日本の中で「発展途上地域」に該当する諸県における観光開発にも当てはまるところも多々あり、この点でも極めて有用と言えましょう。本書は、348ページ、定価3,800円です。観光論、経済開発、地域開発に関心のある方々に一読をお勧めしたいと存じます。
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