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2006-08-09 18:45
オープンスカイ協定だけでは不十分
田中貴代子
会社員
8月2日付けで掲載された塩崎恭久氏のコラム「対インド政策『空のビッグバン』で打開を」を拝読した。塩崎氏は「東アジア経済圏の充実には、域内航空市場の自由化が重要だ」と説き、「世界の生産と消費の中心になる潜在力を持っている」インドとオープンスカイ協定を結ぶべきだと主張している。
すでにインド路線に入り込んでいるアメリカやヨーロッパの航空会社に対し、航空自由化を拒む政府に守られてきた競争力の低い日本の航空会社が、新たに参入するのは困難である。塩崎氏の主張するように、制約の多い現行の二国間航空協定に代わり、オープンスカイ協定を導入し、日本の航空会社の競争力を高めることが重要だ。航空規制緩和を狙ったオープンスカイ協定は二国間市場における参入企業数、路線、運輸力、運賃の自由化を可能にし、それは運賃の低下や旅客数の拡大に繋がる。現にアメリカは90年代に「オープンスカイ政策」を打ち出し、それまで不振を続けていた航空業界で一気に競争力を高めることに成功している。だが、オープンスカイの導入だけでは不十分だ。
いくらオープンスカイ協定で航空自由化を進めても、それに対応できるだけの大型空港は、まだ日本にはない。塩崎氏も指摘するように、成田空港の発着能力はすでに限界に近い。成田空港は世界の主要空港の3分の1程度の約1000ヘクタールしかない。また主要空港の目安といわれる4000mの滑走路は現在日本には成田に1本あるだけだ。中部国際空港の全体構想では4000mの滑走路を2本整備するとされているが、それでも世界の主要空港に比べると見劣りする。塩崎氏は「貨物便などを関西や中部国際空港発着に移し」て対応できると述べているが、増え続ける航空貨物輸送は今後もますます重要であり、一部空港への振り分けで対応できるものではない。成田空港の拡張と併せ、貨物便専用の空港が必要となる。国際競争力を発揮できるよう、オープンスカイ導入の前にまずは空港整備を行うべきである。
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