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2010-11-30 08:01

提言「外国人受入れの展望と課題」について

日本国際フォーラム事務局  日本国際フォーラム事務局
 日本国際フォーラムは、このたび「外国人受入れの展望と課題」と題する政策提言を発表しました。23年前の設立以来つづけている政策提言活動の一環で、われわれにとって33番目の提言です。32番目の提言は「積極的平和主義と日米同盟のありかた」(昨年10月発表)、31番目の提言は「グローバル化の中での日本農業の総合戦略」(昨年1月発表)でした。いずれも議論の分かれる難しい問題でしたが、国民各界からは賛否いずれにせよ冷静で建設的なご意見をいただくことができました。

 しかし、今回の提言については、われわれにとって初めての経験ですが、一部のブログにおいて心外な反応が起こっています。今回の提言については、なぜか『ウォールストリート・ジャーナル』紙が提言の一部を引用しているかのごとき書き方で、じつは同紙の見解を述べているにすぎない報道ぶりをしており、同紙には抗議することも考えておりますが、いずれにせよこれを見た一部のひとは、政策提言そのものに対してではなく、それを読まないままに、この『ウォールストリート・ジャーナル』紙の記事に反応している状態です。その結果、われわれの立場から見て、「心外な反応」が起こっているということであります。

  そのようなときに「海外脱出ブログ」(http://escapejpn.blog29.fc2.com/blog-entry-94.html)というブログが日本国際フォーラムの今回の提言「外国人受入れの展望と課題」を取り上げ、冷静かつ建設的なコメントをしてくださっていることを知りました。私どもが直接弁解めいた反論や釈明をするよりも、この「海外脱出ブログ」様のブログをそのままここに引用、紹介させていただくほうが、私どもの真意もかえって伝わるのではないかと考え、「海外脱出ブログ」様には無断ですが、最大の敬意と感謝を込めて、以下にそのブログを紹介させていただきます。

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 日本国際フォーラム政策委員会(メンバーはこちら)が25日、『外国人受入れの展望と課題』という政策提言を発表しました。
内容はこちら(pdf)

今回は、気になったところをいくつか抜粋して、この政策提言を掘り下げて見てみたいと思います。


まずはまえがきから

「1990年代になると、地域社会のなかに相互にコミュニケーションが成立しない異文化集団やゲットーが現れ、不法移民も増大しました。(中略)わが国は、このような欧州の経験から学び、安易な外国人の受入れが、受入れ国の社会・文化の一体性を損なうだけでなく、政治・安全保障にさえも緊張をもたらしかねないものであることを理解し、必要な対策を講じなければなりません。因みに、欧州への移民は主としてイスラム圏からの移民であり、欧州のキリスト教文化と摩擦を生じていますが、予想される日本への移民の大きな部分は、古い歴史的経緯を持つ朝鮮半島出身者に加え、巨大な人口圧力を抱えながら大国として台頭しつつある中国からの移民です」(P.1)
予想される移民は中国人が中心になるのは私もそのとおりだと思います。
が、もし、日本人と中国人移民との間に文化的・宗教的差異が比較的少なく、摩擦が生じないと思っているのなら、認識が甘すぎます。

ゴミやタバコの吸殻のポイ捨て、立ち小便なんかは残念ながら日本人もやりますが、たとえばゴミを決められた日・決められた時間に決められた場所にちゃんと分別して捨てる、というのも中国人にはできなかったりします。
で、それを自治会から注意しても聞かなかったりね。
これは、将来起こりうる問題ではなく、今日本において実際に起こっている問題です。既に多くの中国人が日本に住んでいますから。合法的に滞在しているのか不法滞在かは知りませんが。ゴミ捨て場に中国語の注意書きがある地域もあります。

  


◆提言1「観光やビジネスを目的とする外国人は極力受入れを拡大するとともに、定住目的の外国人については、日本の国益の観点から選択的に受け入れるべきである」
「東アジアにおいては、過去の戦争の傷跡が完全には癒えていないのみならず、民主主義や基本的人権について価値観を異にする国があり(中略)欧州諸国間にあるような政治的、経済的、社会的、文化的な一体性や均質性はない。領土問題をめぐる確執さえあることを見れば、定住目的の外国人の受入れについては、十分に慎重でなければならない」(P.7)
その通りですよね。
もちろん中国人を念頭に置いているものと理解しています。


◆提言2「外国人高度人材を優先的に受け入れ、わが国に滞在し、国内外を移動しながら自由に活動できる諸条件を整備せよ」
これも賛成。


◆提言3「狭義の不熟練労働者の受入れは今後とも慎重に対応する一方、日本人だけでは供給困難な職種を特定して、その人材開発と資格取得を支援せよ」
「近年、高齢層のみならず若年層でも、失業者や無業者が高水準となっている。技能や経験がなくても就労できる不熟練分野は、これらの日本人が労働市場へ再参入するために不可欠であり、今後とも、外国人に全面的に開放すべきではない」(P.8)
賛成というかこれは当然。


◆提言9「永住外国人への地方参政権の付与は、憲法違反の可能性が高く、政治的にも懸念を抱かせる要素があり、慎重な議論が必要と考える」
「永住外国人への地方参政権付与は、憲法違反の可能性が高いのみならず、かれらが地方参政権を梃子に、領土問題や安全保障問題の帰趨に影響を及ぼす恐れがあり、慎重な議論が必要であると考える」(P.12)
これも当然。明らかに中国人を念頭に置いているものと理解できます。
どうせなら、一部の自治体でなし崩し的に認められている常設型住民投票権にも言及してくれればもっと良かったのに、

  


一部ネット上では叩かれているようですが、当ブログでは、今回の政策提言を基本的に支持します。
WSJの記事(日本の識者が外国人受け入れ拡大のキャンペーン)の見出しに釣られている人が多すぎる。
おそらく政策提言そのものは読まないで批判しているのでしょう。
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