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2010-08-14 13:30
国会議員の日割り給与問題について考える
玉木 洋
大学教員
国会議員の歳費等についての日割り支給が政治的課題となり、自主返納が可能となる法改正が急遽行われた。政治家や公務員の待遇が不当・不合理に高い場合には、それをチェックすべきことは当然であるが、他方で正当・合理的なものまで単に厳しくすればよいというものではない。
国会議員は落選する大きなリスクを背負いながら、国家のために、国民を代表して仕事をする人たちであり、そのために、国民が必要な報酬や費用を負担して、仕事をしてもらうというのは当然のことである。すでに金持ちの人だけが、名誉のためだけにやる、いわゆる名望家政治であっては、本当の民主国家は作れない。歳費などで支給されるお金でだけではとてもやっていけないとなれば、金持ちや金持ち(大組織)の代理人が政治家になるか、あるいは政治家になってから、わいろまがいの献金を受ける、といったことでもしなければ、多くの政治家がやっていけなくなるであろう。
国会議員の選挙に落選したからといって、ただちに普通に就職することも難しいし、国会議員の選挙に出る際には、仕事を辞めなければならない場合も多い。そういう中で、国民の審判によって国会議員になった人たちに対しては、せめて月割りでその月の満額を支払うぐらいは、当然のことではないだろうか。先般は新たな議員会館の部屋が豪華すぎるといった報道もあったが、従来の40平米程度の部屋では、議員の部屋も小さく、秘書の執務スペースも大変小さく、とても十分な議員活動ができる広さではなかった。
国家のために働く国民の代表には、十分な待遇をすべきである。もちろん中にはそれに見合った働きをしない議員もいるだろう。しかし、そういう人は落選させればよい。それで十分ではないだろうか。理想に燃えて国家のために働く優秀な人材を国会議員に集めるためにも、最低限の待遇は保証しなければ、国家・国民にとって大きな禍根を残すことになるのではないか。そのことを懸念する。
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