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2010-08-11 07:52

日韓併合首相談話について懸念する

玉木 洋  大学教員
 日本人は、いつもお詫びをしあい、お詫びを受けた側はそれで許し、そして争わずに平穏な関係を保つという習慣を持っていると思う。これは非常に美しい、穏やかな日本人の良い慣習だと思う。しかし、これが国際的な常識と合致しているとはいえないだろう。

 これまでの村山談話等の経過を考えても、真実をゆがめてまで迎合した過剰なお詫びがさらなる攻撃や要求を生んできたことは明らかだろう。「お詫び」についての感覚が、国際的には国内と全く異なることをよく認識する必要があるのではないだろうか。

 今般の管首相談話も、お詫びを率直にすることで、その後の良好な関係を確保したいとの思いから出たものではあろう。しかし、宮沢談話、河野談話、村山談話などに関する経過からもわかるように、実際にはそのような効果はなく、逆効果となる可能性が高い。

 今回の談話はこれを行う必要がなかったというだけでなく、むしろ逆に日本の外交をますます困難にし、国益を損なう恐れを拡大するものとなってしまうであろう。国益を守り、真に良好な外交関係を築くためには、一層悪化する状況の中で、より厳しい多大な努力が必要となったといえるだろう。


 
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