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2010-06-23 18:34
わが国マスコミの品質の堕落ぶり
大藏 雄之助
異文化研究所代表
インターネットの発展は目を見張るばかりであるが、中でも大容量のメモリーの低廉化が急速に進んでいる。したがって、マスメディアや総合的なシンクタンクでは、現役の評論家、めぼしい政治家や財界人らの過去の発言はすべて記録に残しているはずである。それを引き出して、新しい主張と対比すれば、言動が一貫しているか、その間に矛盾はないかを、たちどころに検証できる。
朝令暮改を重ねて退陣した鳩山首相の外交問題の相談相手の人物は、アメリカ政府の出方がすべてわかっているような構えであったが、具体的な事実認定は幾つも間違っていた。それは「神は細部に宿り給う」という格言を思い出させるものだった。また、軍事問題の顧問格は、湾岸戦争の見通しで決定的な失敗を犯した前科を持っていた。第二次湾岸戦争でアメリカ軍がサウジアラビアの北部に展開していた時に、彼は「イラクに進攻すれば固い防御態勢をとっている敵の思うつぼにはまって、膨大な死傷者を出すことになり、アメリカ国内の反戦世論が高まるから、アメリカ軍は絶対に国境を越えない」と断言した。
しかし、歴史上、ある程度の規模の国を地上戦なしで屈服させた例はない。筆者は「アメリカ軍は今回は必ずバグダッドまで進軍する。もちろん被害を最小にするために、事前に前方陣地を徹底的に破壊する作戦をとるだろう」と反論した。結果はご存じの通りである。
条件をきちんと読み取れなければ、予測が外れるのは当然である。日本のマスコミは、性懲りもなくこのような人々をニュースのコメンテーターに起用し続けている。かつてクオリティーを誇った先進国の新聞・放送は、不景気と顧客離れで、特にヨーロッパは無料紙の普及で、アメリカは広告の激減で、いずれも体質改善を迫られている。わが国のメディアは、それほど経営難でもないのに、品質の点ではとっくに破産しかけているのである。
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