国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-06-21 03:03

「国際貢献」の議論を再び活発化しよう

伊藤 嘉彦  学生
 鳩山首相が辞任されるまでの数ヶ月間、日本では沖縄の米軍基地移転問題について連日の報道がなされました。一方で、「国際貢献」といった日本が海外で行う活動についての議論は、日陰に追いやられてしまった感があります。6月8日に就任した菅首相は、11日の所信表明演説において「アフガニスタンへの復興支援を継続する」旨を表明しました。

 18日、カルザイ大統領は朝日新聞とのインタビューで「日本の治安維持への貢献に期待する」旨を伝えています。これまで日本は、幹部警察官養成や警察官の給料を肩代わりするなどして、アフガニスタンを支援してきました。民主党のマニフェストでは、「アフガニスタンなどの平和構築に役割を果たすため、PKO活動などでの自衛隊および文民の国際貢献活動のあり方について検討する」と謳っているので、具体的にどのような形で復興支援に関与するのか、興味深いところです。

 他方、6月10日にニューヨーク国連本部で開催されたソマリア沖海賊対策に関するコンタクト・グループ会合では、「ソマリア沖海賊の活動が東方に拡大している」ことが指摘されています。EUは、Operation ATALANTA という枠組みを通して海賊対策を行っていますが、フランクフルター・アルゲマイネ紙によれば、EUは活動領域の東方拡大と、2012年までの任務延長を検討しています。日本も現在、アデン湾・ソマリア沖で海賊対処のため護衛活動を行っていますが、この件に関し、日本も海賊対策の継続を求められているとのことです。日本として、どのように対処するかを決めなくてはなりません。

 カルザイ大統領の発言とソマリア沖海賊対策コンタクト・グループ会合での要請を見てもわかるとおり、日本は国際社会で一定の役割を担うことを引き続き期待されており、菅首相の対応が注目されます。菅首相は、6月17日にワシントンで開催されたセミナーにおいて長島昭久防衛政務官から「現実主義者」と表現されました。菅首相は、「現実主義者」として、これからの日本の戦略的目標と国際社会における日本の役割を国民に説明しつつ、「現実的」政策を打ち出していくことが期待されます。それをもとに国会で活発な議論が行われれば、日本の国際貢献の在り方といった議論も、再び日の目を見ることになるでしょう。
>>>この投稿にコメントする
  • 修正する
  • 投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:5636本
公益財団法人日本国際フォーラム