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2006-06-11 16:51
中国は本当に弱いのか
益井信吾
大学院生
「第28政策提言第三回政策委員会メモ」を読むと、日本と中国の力関係について、「中国経済の現状はバブル経済であり、人民元の問題もある。中国の発展には日本の技術援助が不可欠であり、日本は中国に対してむしろ強い立場に立っている」との意見表明がなされたのに対して、特別の異論は唱えられなかったとのことですが、私には異論があります。
まず何を基準に中国を弱いと判断するのでしょうか。「中国の発展には日本の技術援助が不可欠」ということのようですが、問題はそう短絡的ではないと思います。近年中国とEUは急速に接近しています。今年の2月にはEUと中国の間で「クリーンな石炭技術」などエネルギー分野における技術協力を約束した覚書きも調印されています。これは一例であり、「日本の技術は中国に取って不可欠」というのは言い過ぎです。
加えて、中国は豊富な労働力と低価格製品という武器を持っています。また世界の各種産業にとって中国が成長の見込める市場であることは間違いありません。それに対し、日本は少子高齢化によって労働人口が減少しますし、電化製品も自動車も日本国中に行き渡り、市場としては今後の成長はそれほど見込めないでしょう。
どちらが強いのか、弱いのか、短絡的な結論を出すのはまだ早いと思います。良くも悪くも中国は大きなインパクトを持つ国なのです。慎重に見極めながらその対中政策を進めることこそが、隣の大国である日本のもつべき対中観ではないでしょうか。
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