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2010-04-02 07:41
信望のない“遠ぼえ”ばかりの舛添要一
杉浦正章
政治評論家
このところ自民党内は前厚労相・舛添要一の“突っ張り”ばかりが目立つ。カラスが鳴かない日はあっても、舛添がほえない日はない。しかし肝心の全議員懇談会には出席せず、“遠ぼえ”にとどまっている。かって仕掛けた「谷垣降ろし」発言も尻つぼみに終わりつつある。執行部が用意した参院選対策本部の本部長代理ポストも、拒否して受けそうもない。舛添の欠陥はタレント学者の癖が抜けずに、テレビ意識の発言を繰り返していることだ。黙って新党結成に動き始めた元経済産業相・平沼赳夫とは大違いだ。
「谷垣総裁が首相に対して戦えるのか、みんな注目している。それを見ての判断だ」と党首討論を見て「谷垣降ろし」をどうするかを決める発言をした舛添。まるで自分が谷垣の生殺与奪の権を握っているかのような口ぶりだ。ところが党首討論で谷垣が予想外の健闘ぶりを示すと、全議員懇談会に出席せずに、鳴りをひそめた。最近の発言をみると、拳を振り上げては下ろすことを繰り返している。過激発言を繰り返しながら、行動が伴わず、みんなの党代表の渡辺喜美から「まずは党を出て発言したら」とけしかけられる始末。国会運営でも、予算の早期成立を批判して「党執行部の国会対策の稚拙さでもう予算審議が終わってしまった。早期成立は非常に不満だ」と執行部批判をした。しかし舛添は、参院予算委員会の自民党筆頭理事であり、早期成立は舛添自身の無策にあることを棚上げしている。これでは、テレビで重宝されても、党内の信望は集められない。
執行部による参院選対策本部の本部長代理のポスト打診も拒否する意向である。本当のリーダーとして成長するには、閣僚など派手なポストばかりでなく、党のために縁の下の力持ち的な立場で汗をかく事が不可欠なのに、拒絶反応だ。受けて責任を取らされるのを嫌ったのだろうか。総裁や幹事長のポストが人望欠如のままで務まると思っているのだろうか。首相候補第1位の世論調査があることに勢いづいて、舞い上がっているとしか思えない。しかし舛添の致命的な欠陥は参院議員であることだ。もちろん法的には参院議員でも首相候補として問題はないが、議院内閣制の趣旨と矛盾する。議院内閣制は衆院多数派が内閣を組織し、国会と国民に責任を負う仕組みであり、首相が参院出身では、議院内閣制の趣旨は貫徹できなくなる恐れがある。解散権が、解散のない参院出身の首相によって行使されるのも無理がある。かって宮沢喜一が1967年に衆議院に鞍替えしたのも、首相・池田勇人からの忠告があってのことだった。 絶好のチャンスは昨年夏だった。自民党東京都連が衆院選比例代表東京ブロック1位での立候補を打診したが、なぜかこれを拒否している。舛添の本気度が疑われるゆえんである。
折から平沼新党がようやく動き始めたようである。読売新聞が「来週にも新党」と報じている。共同通信によると、平沼は4月1日、元財務相・与謝野馨周辺と会談している。与謝野の新党への参加の可能性について、感触を探った模様である。平沼から与謝野にはお呼びがかかっても、舛添に声がかからないのはどうしたことだろうか。舛添も参院選前の新党を提唱しているではないか。それだけ信用がないと言うことだろうか。いっそ舛添も“押しかけ女房”で参加してはどうか。「男は一度勝負する」と言ったのは三木武夫だが、遠ぼえばかりで勝負しないのでは人は集まらない。もっとも平沼新党も“新党ブーム”を起こすような原動力にはなりそうもない。マスコミは新党、新党と騒ぐが、大きな潮流となる要素は少ない。
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