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2010-01-14 07:46
地検の狙いは「小沢本丸」にある
杉浦 正章
政治評論家
民主党幹事長・小沢一郎の土地購入疑惑での関係先への一斉捜査は、明らかに秘書レベルより「小沢本丸」狙いであろう。地検が任意捜査から強制捜査に転じたことは、政治資金規正法違反どころかあっせん収賄の疑いすら出てきたためで、小沢追及への並々ならぬ決意の表れとみるべきであろう。当然小沢逮捕や起訴も視野に入れたものとみることも可能だ。鳩山政権は発足4カ月で首相と幹事長の両トップが疑惑にさらされるという、未曾有の事態に直面した。いずれのケースも、説明責任どころか、政治責任を求められる段階に入りつつある。東京地検・国会・マスコミの包囲網が小沢に対して形成され、小沢にとって唯一の逃げ場が寂として声なしの民主党だけだ。
大訪中団、新年祝賀会と必要以上にその“実力”を誇示し続けてきた小沢の真意を測りかねていたが、強制捜査で分かった。検察や政界へのけん制であったのだ。「大政治家である俺を挙げられるのか」と示威行為を続けていたのだ。たしかに怖じ気づいた検察幹部もいると聞くが、疑惑のど真ん中「鹿島」と小沢事務所の捜査で、検察内部の意思統一は完了したのだろう。意気込みからみても、地検の狙いは衆院議員・石川知宏の在宅起訴などという、いわば雑魚狙いではあるまい。雑魚を挙げるだけなら、とっくに本人が自白している内容で十分だろう。
狙いは「小沢本丸」にあるとみるべきだ。これまでに強制捜査を受けた議員は、鈴木宗男も、金丸信も、逮捕に至っている。少なくとも起訴へと結びつくケースが多い。強制捜査の目的は、小沢が紙袋に入れて台車で運ばせた4億円の原資の解明にある。岩手の胆沢ダム受注への見返りの資金と疑われるものだ。小沢の記者会見における「小さなミスはあったかもしれないが」という認識と事情聴取拒否の矛盾を突くには、強制捜査しかあるまい。これを受けて自民党は勢いづいている。5メートル先の象を撃つほど標的がはっきりしている。総裁・谷垣禎一は「証人喚問を考える」としているが、あらゆる戦術を駆使するだろう。これにマスコミも同調せざるを得まい。包囲網は事実上完了した。
一方、小沢自身は13日名古屋で「私どもは法に触れるようなことを犯していない。それを国民から理解してもらったからこそ、政権を我々に与えてもらえた」と驚くべき認識を明らかにした。国民は小沢をめぐる疑惑に眼をつむったのが選挙結果であるととらえているのだ。ここまでの牽強付会(けんきょうふかい)の発言は聞いたことがないし、有権者への侮辱だ。あきらかに小沢のよりどころは、自在にコントロールできる“政権”にあるのだろう。だらしがない限りなのは、その政権与党である民主党から、小沢擁護の声以外は、批判らしい批判が出てこないことだ。衆参400議席もあって、何をやっているのだろうか。まだ“当選ぼけ”が続いているのだろうか。トップが検察の直撃を受けて、支持率が維持できるという甘い考えを持ち続けているのだろうか。自民党ならとっくに“抗争”の段階だ。自浄作用が出てこなければ、“議席バブル”の破たんは早い。また鳩山も党の代表なのであり、組織としては幹事長に事情を質すべきであろう。それとも自らの疑わしさ故に、他人の疑惑を問い質すことができないのだろうか。小沢と抱き合い心中するつもりなら、それも一興だ。
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