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2009-11-09 09:45
民主党が英国式政権運営から学ぶべきこと
大藏 雄之助
団体役員
民主党の小沢幹事長、菅副総理らがロンドンを訪問してイギリス式の政策立案や議会運営方式を取り入れようとしている。官僚を排除して、議員同士で討議するのは結構だが、ウェストミンスターでは第1党は議会で過半数を確保できなくても、連立は組まないから、公約は明白だし、数字を間違えると大混乱を起こす恐れのある大蔵大臣以外は、与野党ともメモを見ることは許されない。
また、マニフェストなるものは選挙で提示するまでに必要経費・手順を含めて公開討議されている。今回の民主党のマニフェストはそのような過程を経ていない。そのために日米関係はもとより、多くの点で整合性に欠けている。しかも予算に関しては「無駄を省けば、すべて執行可能」と公言していた。来年度の国債発行を、麻生内閣の補正予算込みの44兆円とするのは、すでに税収見込みを上回る。このようなばらまき景気振興策は、財務省に底流するインフレ待望論に荷担することになりかねない。
18世紀にイギリスで議院内閣制度が成立して以来、最も多数の首相を産み出したのは、パブリック・スクールのイートン・カレッジである。強いて日本の学校に当てはめれば、男子全寮制小中高一貫校ということになろう。この学校はロンドン郊外のウィンザー城の近くにある。正門を入ると左右の塀に沿って小さい仕切りの「ファイヴズ」(「5本の指」という意味)のコートが並んでいる。
ルールは簡単で、2人の競技者が交互にテニスボールのようなものを向かいがわの壁に当てて、跳ね返ってきたものをまた壁にぶつけるだけである。スカッシュのような高さの制限はない。そして、どんなに悪い条件で球が戻ってきても、受け損なった方が負けになる。これは政権授受のモデルにたとえられる。新たに政府を組織した党は、政治がうまくいかない責任を前政権になすりつけてはならない。それならば政権を奪取しなければいいのだ。民主党は肝腎なところを学ばないでいる。
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