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2009-10-30 16:51
韓国や中国との政治的対立について思う
入門 貴男
文化女子大学
日本は米国と約150年の交流を持ち、太平洋戦争(大東亜戦争)など一時的に関係が悪化した時期はあったものの、幾多の厳しい試練の時を乗り越えながら、概ね良好な関係を保ってきた。一方で、中国・韓国とは10世紀以上の交流があるにもかかわらず、現在においてもその関係は決して芳しいとは言えない状況にある。中国について言えば、戦後も中国が大国化するまでは日中間には太い人脈があり、両国の首脳が何ら支障なく会談できるような機会があった。ところが日中国交回復30周年に当たる2002年に両国首脳の相互訪問が実現しなかった事や、2004年3月の尖閣諸島上陸問題、同年5月の東シナ海における海底油田の開発問題、2005年4月の中国各地での反日デモに象徴されるように、領土係争や歴史認識に基づく反日感情は根強いものがある。
また、韓国についても2002年のサッカー・ワールドカップの共同開催や韓国国内における日本文化の開放など、反日感情に改善の兆しが見られ、また2003年に就任した盧武鉉大統領も当初は「いつまでも過去の足枷に囚われているわけにはいかない」、「過去を直視し、不幸な過去を教訓に、新たな未来に向け進むべき」としていたが、竹島問題や日本海呼称問題などに関する国内世論を背景に反日路線へと転換しており、2005年6月や2006年10月の日韓首脳会談では、過去の歴史に対して反省を求めることを重点課題として、これからの日韓関係や東アジア共同体など21世紀において日本と韓国が歩むべき道ついて、際立った議論の進展は無かった。
中国・韓国はこれらの「政治的対立」の根底には歴史認識問題や教科書、靖国参拝といった問題があると主張しており、この問題を巡っては、中国や韓国は未だに日本に対し感情的な溝を持ち、それが相互信頼や共同体意識の構築を阻害している現状がある。両国政府は日本を歴史を理由に敵視する教育や日本文化に対する規制をおこない、国民の間に反日感情が浸透している。とくに天安門事件以後の中国においては愛国教育が盛んに行われるようになり、若い世代ほど反日感情が根強い。日本でも、とりわけ中国の軍事力や経済力に対し脅威を抱き、敵視する空気がある。バブル崩壊後から長期的に経済停滞をしている自国に比べ、20年以上も高成長を続ける中国は、やがて日本を追い抜き、日本に悪感情を持った非民主的な軍事超大国が隣に誕生するという悪夢への抵抗感に因るものである。
しかしながら、中国のWTO加盟による貿易自由化の促進や内需の拡大により日本では自動車や電子部品の輸出額が増加し、2005年の日本の対中輸出は中国のWTO加盟前の2000年に比べて、約170%増加した事や、中国では沿海部を中心に4億人規模の巨大市場が存在し、日本企業にとっては大きなビジネス・チャンスとなっている事は事実であり、1997年に発表された世界銀行のレポート『2020年の中国』によれば、中国のWTO加盟による世界各国の年間受益に関して、日本は中国に次ぐ2番目の受益国になるものと予測されている。 また、国内に不安定要因を多数抱える中国は、安定した持続的発展のために、日本をはじめとする世界各国の協力を現在でも必要としている。事実、地域間格差を是正するための策である西部大開発は、日本のODAの対象となっている。 もし中国政府が社会問題の解決・処理を誤れば、日本企業にとって痛手となるだけでなく、日本や東アジアの安定にも深刻な影響を与える事が懸念されており、東アジアの安定・発展には中国の台頭が必要不可欠なものとする見方が強い。
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